通勤電車の王道、京成「新3200形」唯一の惜しい点 分割・併合が簡単、多くの路線に投入可能だが
客室内も3100形のデザインを継承している。違いはシートの色で、3100形は一般席がオレンジ、優先席が青なのに対し、3200形は一般席が青、優先席が赤で京成のコーポレートカラーでそろえた。これも成田スカイアクセス線ではなく京成本線を運行する車両であることがシートの色でわかるようにしたためである。シートには桜などの花の模様があしらわれている。桜のデザインは訪日客にアピールする狙いがあるのかと思ったら、「東京都の花であるソメイヨシノと千葉県の花である菜の花をデザインしたもので、東京都内と千葉県内を走ることから選んだ」という。シートのデザインにも納得の理由があった。
シートの1人当たりの幅は46cm。最近では48cmという電車もあるが、「通勤電車の中には長さは20mという車両もあるが、3200形は車体の長さが18mなので46cmが精いっぱい」と担当者が話した。
通勤車両の中にはドア横と座席の間のスペースを広く取り、乗客が寄りかかれるようにしているものもあるが、3200形はできる限りシートの幅を広げた結果このスペースが狭くなり、人が立つのは難しい。座席の1人当たりスペースが狭い分、通常のシートよりも窪みをしっかりと取ることで、1人当たりのスペースがはっきりとわかるようにしている。
中間車にあって先頭車にないもの
このように細部まで配慮がなされた3200形であるが、1つだけ惜しい点があった。3200形はフレキシブルに編成車両数を変更可能という特徴を生かし、分割・併合を行うことが想定されている。そのため、編成には先頭車が連結している箇所がある。先頭部分は少し丸みが付いたデザインであるため連結部分に隙間ができ、ホーム上を歩いている人が転落するリスクがあるのではないかという点だ。
国土交通省は「バリアフリー整備ガイドライン」で車両連結部に「転落防止用ホロ」の設置を求めている。そのため、3200形の中間車両どうしの連結部分はこのホロでがっちり固められている。
先頭車の連結部分は中間車両よりも隙間がさらに広いため、JR西日本などのように先頭車の先端に転落防止ホロを設置して転落を防いでいる鉄道会社もある。しかし、3200形は先頭車に転倒防止ホロを設置しなかった。すっきりした先頭形状のデザインを生かすためだろうか。京成の担当者は「デザインと機能性を勘案した」としている。
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