通勤電車の王道、京成「新3200形」唯一の惜しい点 分割・併合が簡単、多くの路線に投入可能だが

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3500形にも4両、6両、8両のタイプがあり、京成の担当者によれば、「3200形と3500形に運用特性上の違いはない」。ただ、3500形では車両の連結以外に床下に降りて手動で電気的な連結作業を行っていたが、3200形では電気連結器を採用することで不要となり、すべての操作が運転台で完結することで分割・併合が容易となった。

最新の半導体を使用した制御装置を搭載し、3500形と比較して電力消費量は約69%削減されるという。京成はこのコンセプトを「人や環境にやさしいフレキシブルな車両」と表現している。

車両を製造するのは日本車両製造(日車)と総合車両製作所(総車)。日車は「N-QUALIS(エヌ・クオリス)」、総車は「sustina(サスティナ)」というブランドを持つが、「3200形はどちらにも該当せず、それらのブランドは付けない」という。両社が共同で設計するが、製造は別々に行う。今回公開された編成は日車が製造したものだ。今後は総車が製造した編成も随時登場する予定だ。

京成 3200形 側面
ステンレス製車体の3200形(撮影:尾形文繁)

鉄道車両の素材には鋼鉄、アルミ合金、ステンレスなどがあり、それぞれ一長一短がある。鋼鉄の車両は比較的安価で加工がしやすいというメリットがある反面、重い、錆びやすいといった欠点がある。鉄道車両の車体に鋼鉄を用いる場合はさびを防ぐために塗装が必要となる。アルミ合金は軽量で錆びにくく加工も容易だが、単価が高めなのがネックだ。

「顔」の特徴は正面貫通扉

ステンレスは錆びないし、アルミと比べれば安価だが、一方で加工が難しく曲線を作りにくいというデメリットがある。日車、総車ともにステンレス製の車両を得意としており、3200形もステンレス製となった。ステンレスの強みを生かし塗装はしていない。

側面の青と赤のラインの位置は3100形を継承している。3100形はオレンジのラインを引いているのに対して、3200形は青と赤にした理由は、成田スカイアクセス線ではなく京成本線を運行する車両であることがラインの色でわかるようにしたためだ。

京成3200 前面
京成3200形の「顔」。連結運転時に通り抜け可能とするため正面貫通扉を中央に配置している(撮影:尾形文繁)

車両前面の「顔」のデザインも基本的には3100形を継承しているが、連結運転時に常時通り抜けが可能な構造とするため、正面貫通扉を中央に配置した。なお、車両前面はステンレスではなく鋼板が使われている。「デザイン上、少し丸みを付けてシャープに見せたかった」と京成の担当者が説明する。そのため加工をしやすい鋼製となった。

京成3200 前頭部
前面はステンレス製でなく鋼板製でやや丸みを付けシャープなデザインに(撮影:尾形文繁)
【写真】3200形の乗務員室内。通常は間近で見られない運転台の機器類をアップで
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