通勤電車の王道、京成「新3200形」唯一の惜しい点 分割・併合が簡単、多くの路線に投入可能だが

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代わりに3200形は転落防止の対策として「注意放送装置」を設置し、ホーム停車時に注意を促す放送を流すことにした。京成の担当者は「本線上で分割・併合を行うことになった場合を見据えて注意放送とした」とする。これは、国交省の「運行中に車両の連結・分離などが行われるなどの理由により、転落防止設備が設置できない場合には、音声による警告を行うことが望ましい」というガイドラインに従ったものだ。

京成3200 先頭車と中間車の連結部分
先頭車(左)と中間車の連結部分。先頭車には転落防止ホロがない(撮影:尾形文繁)
京成3200 先頭車と中間車 連結面
先頭車(右)と中間車の連結部分。ホーム停車時に注意を促す放送が流れる(撮影:尾形文繁)

とはいえ、音声による警告では聴覚障害者の転落リスクを解消できない。むろん、京成が聴覚障害者に配慮していないというわけではない。3200形の車内では聴覚障害者に配慮してドア上部に「ドア開閉ランプ」を設置し、「ドアが開きます」というアナウンスが聞こえなくてもランプの点灯でドアの開閉のタイミングを視認できるようにしている。

ガイドラインに沿っているとはいえ、せっかく「人や環環にやさしい」と謳っている新型車両なのだから、見栄えが多少悪くなったとしても、先頭部に転落防止ホロの設置を将来的に検討してもよいのではないかと感じた。

新京成線改め「松戸線」も走る?

3200形は2月22日から営業運転を開始する。当面は主に京成本線や千葉線の普通列車として運転する。また、4月以降に増備が進み、8両編成が組成できるようになった場合は、「具体的な計画はまだないが」と前置きしたうえで「押上より先の他社線にも乗り入れる可能性もある」という。そのときは3400形も置き換え対象になる可能性がある。

京成3200 斜め横アングル
京成3200形は当面京成本線や千葉線の普通列車として運転する予定(撮影:尾形文繁)
【写真の続き】電気連結器やLED式の種別・行き先表示器、台車など3200形の細部をクローズアップ

また、4月1日には京成電鉄が新京成電鉄を吸収合併し、新京成線は「京成松戸線」となる予定だ。新京成は2019年に新型の80000形を導入して旧型車両からの置き換えを進めている。京成は「3200形が松戸線を走るかどうかは未定」というが、かりに導入が決まった場合は、80000形の代わりに3200形で置き換えることになるという。

新京成 80000
新京成電鉄の80000形(編集部撮影)

3200形が何編成造られるかはまだ決まっていないが、さまざまな車両の置き換えとして期待されているだけに、将来は京成沿線の各所で3200形が走る姿が当たり前の光景になりそうだ。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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