文書は最低西暦を併記、統計からは元号一掃を

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また、ある元号が何年まで続くのかわからないという問題もある。

よく官庁が作った長期の予想の中に「平成70年度」などという表現を見ることがあるが、たぶん、こんな年が来ることはないだろう。だが、元号表示を使用し続けるかぎり、こうした表現も使わざるをえない。

第四に、情報の国際化の妨げとなる。これは、説明するまでもない。元号表示を続けるかぎり、国内向けデータと海外向けデータとで異なる年表示が存在し続けることになる。

元号は日本古来の文化?

こうした、元号表示廃止論を述べると、決まって出てくる反論が、「便利さという観点からは確かにそのとおりだが、元号は文化の問題。このような日本古来の文化は尊重されるべき」という主張だ。

しかし元号は、決して日本の伝統文化ではない。元号が始まったのは、中国・前漢の時代。紀元前2世紀、武帝が統治の初年にさかのぼって「建元」という元号を立てた。これは天帝の子たる皇帝(天子)が暦(時間)を支配するという思想の表れで、中国本国のほか、中華帝国に冊封された国(たとえば朝鮮)や中華文明を輸入した周辺国(たとえば柔然、高昌、南詔、大理、渤海、日本など)が元号を採用した。

ちなみに日本での元号の始まりは、645年の「大化」。だが、大化の後の数十年間は定着せず、元号が途切れなく存在するようになったのは701年の「大宝」以降である。

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