文書は最低西暦を併記、統計からは元号一掃を
元号が錯誤の原因に
第二に、元号表示は錯誤の原因となる。たとえば「10年度」などという省略した表現。これがはたして「平成10年度」なのか、はたまた「2010年度」なのか、聞いたほうは大いに悩むことになる。
この問題は、昭和時代にはあまり意識されなかった。なぜなら、西暦の下2ケタと元号表示の2ケタ数字の差が25あったからだ。ところが現在は、2012年が平成24年となるように、わずか12しか離れていない。このため非常に錯誤を起こしやすくなった。特に、説明を口頭で受けるときなどは、それが西暦表示なのか元号表示なのか、とっさに判断しにくいことがある。
また別の種類の錯誤もある。
それは、元号表示だと、複数の元号にまたがった年数計算が煩雑になることである。
改元は暦年の切れ目とまったく関係なく突然行われる。たとえば昭和元年は1926年12月25日から始まった。また、平成元年は1989年1月8日から始まった。いずれも年末・年始にかかっているため、非常にややこしい。すなわち、ある元号の最後の年と次の元号の最初の年(元年)は、1月1日付で改元が行われないかぎり同じ年であるにもかかわらず、あたかも別の年のような表示になる(たとえば、昭和64年と平成元年は同じ年)。それゆえ、元号をまたがって年数を数えるときには、気をつけなければならない。
第三に、元号表示はIT化のコスト増要因となる。これは、単に2種類の年の表示があるためだけに起こる問題ではない。改元が予告なく突然起こる点も重要だ。ソフトウエアを事前に改元に対応させておくことは、もちろん不可能である。