フジ「番組CMの8割がAC」、会見で疑念払拭なるか 日本生命などスポンサー企業は現状をどう評価?
一方、トヨタや日本生命と同様、CM差し止めをいち早く公にした明治安田生命保険は、17日会見について「どちらともいえない」とした。理由は「会見を直接聞いたわけではないので判断するのが難しい」。重要な会見はネットで広く視聴できる現在。明治安田の答えはフジテレビの時代遅れな姿勢が招いたといえる。
書面質問では、今回のような性加害問題に関する事案が他局でも起きていないか、その懸念の有無も尋ねた。「懸念はない」「懸念がある」「懸念があり、すでに対応を求めた」から選んでもらった。
無回答であっても「明確な情報を持ち合わせていないから」といった理由をコメントするなど、問いに正面から向き合う姿勢を示した企業は、アサヒビールやアサヒ飲料を傘下に持つアサヒグループジャパン、キリンHD、日本生命、第一生命、明治安田、セブン&アイ・ホールディングス、ヤクルト本社だ。
このうちアサヒグループジャパンは「懸念はない」と回答。「他のテレビ局でフジテレビと同様の事案が発生していると認識していないため、対応を求めることは考えていない」とした。
他方、セブン&アイHDは「懸念がある」と回答したうえで、すべてのビジネスパートナーと協働して人権尊重に取り組む旨、表明した。なお明治安田は無回答としつつも、「他のテレビ局の状況を踏まえ、今後、必要に応じて対応を検討する」との考えを示している。
「性的接待」を求められた人は氷山の一角か
前出の蔵元弁護士は、「今回の件は氷山の一角ではないかという疑念も出ており、CMスポンサー企業は他局に対しても積極的な調査を求めるべきだ」と指摘する。
テレビ朝日は、出演者やその関係者と社員との関係性に問題がないか、その実態を把握するための第一次調査を制作現場やアナウンス部を中心に行ったと1月22日に発表。「食事会等での不適切な行為の報告はなかった」としている。TBSも社内調査に着手した。
ただ、調査の具体的な内容については判然としない。
社会調査支援機構チキラボが「報道・芸能界におけるハラスメント構造についての横断調査」を実施し、2024年2月に結果を公表している。調査では回答者275人のうち、性的接待を要求されたことがあると回答したのは約2割。見聞きした経験がある人は約半数に上る。
問題が根深いことは明白だ。仮に各局が「自社のアナウンサーや社員が被害にあった」という限定した想定で調査を行っているとすれば、不十分とのそしりを免れないだろう。
フジテレビが立ち上げる第三者委員会も、中居氏の事案と類似する事案の有無を調査するとしているが、調査報告書の提出は3月末をメドとしている。調査期間は2カ月ほどしかない。
本日の会見で事実解明に向けた姿勢をどこまで示せるのか。社会、そしてCMスポンサー企業も注視している。
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