重大な不祥事を抱えるテレビ局の番組に広告を出してもマイナスイメージにしかならないというのは、企業であれば当然の理屈だ。単にイメージが悪くなるから止めるのか、それとも自社が人権侵害を助長することを防ぐために取引関係を見直すのかは、似ているようで大きく違う。
見極めるポイントは、取引関係を見直す理由を対外的に十分に説明しているかだ。フジテレビに対して具体的にどのような是正を求めているかもカギになる。自社のステークホルダーに対して人権侵害を許容しない姿勢を示すだけでなく、問題企業に対応を促すことにつながるからだ。
こうした観点から見ると、トヨタの回答には物足りなさを禁じ得ない。CM差し止めを公にしているにもかかわらず、「情報が一連の報道のみである状況において、総合的に判断した」とだけ回答したNTT東日本も同様だ。
なお、広告代理店の電通は、書面質問での各設問には回答しなかったが、「報道を担うフジテレビ社に対する社会全体の信頼が揺らぎかねない深刻な状況」とし、「すでにしかるべき説明および対応の実践を求めている」とのコメントを寄せた。
フジ・メディアHDの大株主である東宝も設問には回答しなかった。ただ、「株主としてこのたびの問題について、フジ・メディアHDに対し事実関係の調査など適切な対応を行い、早期の信頼回復に努めるよう要望を伝えている。当社としては今後も同社と対話を続けながら対応を注視する」とコメントした。
博報堂DYホールディングスとファーストリテイリングは、少なくとも3日間あった書面質問の回答期日内に返答がなかった。
日本生命「調査結果は適時適切に説明を」
トヨタとともに迅速なCM差し止め判断で注目されたのが日本生命だ。5月末に同社の筒井義信会長が日本経済団体連合会の会長に就任するだけに、日本生命の動向は他社の判断にも影響したとみられる。
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