「保育園落ちて育休延長」審査厳格化がはらむ矛盾 提出書類は増え、自治体の負担も結局減らない
「より切実に必要とする家庭を入園させる」原則
認可保育園、認定こども園、小規模保育等の認可の保育は、自治体が利用調整(入園選考)を行いますが、国の法令にそって、家庭や子どもの「保育の必要性」を客観的に点数化して判定し、必要性の点数が高い子どもから優先して入園させるしくみになっています。
しかし、フルタイム・育休明けなど点数が高い家庭が保留通知を求めて入園申請をした場合、本人たちの意に反して入園が決まり、そのために今すぐ入りたい人が落ちてしまう。しかも、自治体職員が公平を期して煩雑な調整作業をした結果であるにもかかわらず、決定者からは「入りたくなかった」「保留通知がほしい」という泣きが入るという、「誰も得しない」状態が生まれてしまうのです。
これを回避するため、多くの自治体が、
入園申請書に「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長が許容できる」などの趣旨のチェック欄を設けて、「育休延長許容(可能)者」については、保育の必要性が低いことを理由に点数を下げる、という対策を講じてきました。
この対策は、当時の厚生労働省保育課(現在のこども家庭庁保育政策課)も、公平な利用調整の範囲として2019年に認めています。2024年には、この通知は改正され、「入園保留を希望する」ような文言の選択肢にならないよう、自治体に注意喚起がされました。
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