どんよりとした停滞感。今の中国経済を指すのにぴったりの言葉だ。
EV(電気自動車)やロボットなどのイノベーションは日本でも大きく取り上げられている。今年の旧正月休暇の国内旅行人数は延べ5億9600万人、過去最高を更新した。実際に中国を訪問しても、繁華街はにぎわっていて明確な不景気は感じない。
一方で、マクロは冴えない。実質GDP成長率は5%と政府目標を達成したが、名目GDPは4%にとどまる。実質が名目を下回る「名実逆転」はデフレ状態を示すが、2025年で3年連続となった。
「名実逆転」の歪みを端的に示すのが自動車だ。EV人気もあって2025年の国内販売台数は前年比6.7%増の2730万台と過去最高を更新した。だが、売上高は前年比1.5%減とマイナス成長。激しい値下げ競争はメーカーのみならず、雇用や待遇にはね返る。
一部には好調な分野もあるが、全体で見ると冴えない。つまり、全体的にイマイチなのではなく、一部が大きなマイナスを引き受けていることを意味している。
しわ寄せを最も強く受けているのが若者だ。全体の失業率は5%前後で変化はないが、若年層(16~24歳)は10%台後半と高止まりしている(図1)。若年層失業率の調査が始まった18年時点では約10%だった。

23年半ばに統計基準が変更されたため単純な比較はできないが、若年層雇用が回復していないことは間違いない。若者の苦境、その背景には「教育と雇用のギャップ」「プラットフォーム労働の増加」がある。
大学卒業生は増えるが、見合う職場が不十分
大学卒業生数は急激に拡大している。2000年の100万人弱から25年は1222万人と、四半世紀で12倍も大学の定員が拡大した。この人的資源の質の向上が中国のハイテクを支えている。中国政府も「人口ボーナスから人材ボーナスへ」(経済成長のエンジンが働き手の増加から技能の向上へと転換)という言葉で、このトレンドを歓迎していた。
だが、コロナ後は卒業生の数に見合う雇用の提供が困難になっていく。中国政府が発表する都市新規雇用創出実績は1200万人強で、大学卒業生数とほぼ同数だ。景気悪化だけではなく、大卒の増加が就職難につながっている。

数字の計算でいえば、ぎりぎり新卒全員を吸収するポストはある。しかし、期待の落差がハードルとなる。時間的にも金銭的にも多額の教育リソースを注ぎ込んだのだから、それにふさわしい仕事があるはずという期待から、見合わない仕事を断る若者が多いのだ。「慢就業」、ふさわしい仕事が見つからないので就職を遅らせているという言葉まで生まれている。






















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