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これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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金融商品とは、つねにそういうものである。利便性を高め、プロ用から素人用に商品設計をした時点で、売る側がリスクを取らずに儲かる仕組みになっているのである。

それが悪質かどうか、あるいは程度問題で利益を卸から小売りという意味で、まあまあ妥当に分配しているかどうか、それだけの問題であり、構造は変わらない。

ねずみ講的で、多くは違法でもないし詐欺的でもないが、それほど良心的ではないということである。非上場株ならPER(株価収益率)は10倍、上場株なら20倍。企業の中身は何も変わらない。要はそういうことである。私ならPER10倍のほうがいい。

機関投資家や海外投資家の存在とは?

さて、こう考えてみると、現在の証券取引所の上場株式市場とはだれにどんな投資機会を与えているであろうか。最も恩恵を受けているのは、アルゴリズム取引、高速取引などを行う機関トレーダーである。東証の設備投資は彼らのために行われており、その結果、取引停止などのトラブルが無駄に大きくなっている。

しかも、彼らは、株式市場の効率化にまったく役立っていない。建前上は「価格の歪みをなくす」「流動性の提供」というが、その実はまったく逆で、市場の歪みの増幅、乱高下の増幅、ノイズの高速化を行い、自分たちの利益だけを得ているのではないか。

それでも東証が彼らに付き合っていかなければならないと思われているのは、手数料収入であり、それが世界の潮流だと言われるからである。どちらも本来はいらない。市場は乱されるばかりである。

第2に、いわゆる海外投資家である。「外国人買い」で株を上げてもらうのをひたすら待ち続けてきたのがこの21世紀である。

しかし、これも間違っている。ねずみ講を国家としてやるなら、いちばん愚かな、最後の引き取り手として海外投資家を呼び込むというのは理論的にはありうる。だが、そんなことができる度量は日本政府にも日本社会にもないし、単に、偉い「外国人様」に買ってもらえるような株式市場になって、初めて欧米株式市場の仲間入りとでもいったような時代錯誤の(本当はいつの時代でもそのような考えは間違っているのだが)思考である。

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