これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない

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この大前提が、日本だけでなく、現在では世界中の株式市場で成り立っていない。しかも、望んでもいない。NISAで個人を呼び込むのも、外国人投資家を呼び込むのも、投資量を増やすためである。株価を「上げる」「inflate」「膨らませる」ためである。

需要を増やす、というのはまったく間違った政策なのである。それは大恐慌と同じで、経済が理不尽に大陥没しているときには、多少無駄でも需要を呼び込むことが氷を解かすことになるが、そうでない限りは、需要を増やして株価を上げるのは正しくないし、長期には市場にとってこそマイナスなのである。

21世紀に本当に必要な株式市場とは?

日本においては、政府も取引所も有識者もメディアも、株価を短期で引き上げるために躍起になっているが、それが日本の株式市場をさらに汚し、企業経営にも大きな悪影響を与えているのである。アクティビストに壊され、邪魔させ、無駄なことに忙殺される。

必要なのは、正しい投資家の育成、自分で長期的な企業価値を判断できる、本当に優れた経営者を見抜ける投資家の育成である。それは海外にはいない。資本が必要なのは、資本を所有している株主、その特定の株主が優れた知見を持っているかどうか、目利きできるかどうかなのであって、輸入する必要があるとすれば、目利き能力であり、またその目利き能力を、企業の発展に使う意図のある株主なのである。

そして、それは世界的な投資家のウォーレン・バフェット氏ではない。バフェットとは、むしろ、野蛮な投資家ばかりのときに、それのアンチテーゼとしてしか存在しえない。全員がバフェットであるならば、コカ・コーラだけになってしまう。自分で新しい企業の発展を引き上げるような投資家、「能動的な目利き能力」のある投資家なのである。

これが、日本の株式市場改革へのデザインである。質の高い株主の育成、そして彼らが投資家の主役となるような制度を設計するのである。

だから、取引時間は短くし、取引手数料は、高速取引に対しては(禁止的でもいいが)高くするのである。

M&Aは正しいM&Aが適正に行われることであり、敵対的なものをあおっても仕方がない。また、流動性など要らない。必要なときに正しく適切にM&Aが行われるような市場が求められているのであり、毎日取引が成立する必要もない。

このように、まったく時代に逆行するように見える株式市場こそ、21世紀に本当に必要な株式市場なのである(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースなどを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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