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これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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投資家を呼び込み、資本を引き付ける必要がある場合、その理由は2つだ。1つは、国内が資本不足である場合。戦前はそうだった。いまも途上国はそうだろう。

しかし、日本とはまったく無関係どころか、金自体は余っている。しかも、ここでの議論は、セカンドマーケット、中古市場だ。企業への出資を受け入れてくれるのではなく、単に、セカンダリーでの売買の厚みを増すだけのことである。

そして、これは最重要の株式市場機能を阻害する。高速アルゴリズムトレーダーとは、「現代のハイテク仕手トレーダー」である。短時間の歪み、ボラティリティ(変動率)をあおって儲ける。市場を歪ませる。

ひとことで海外投資家といっても、もちろん投資家によるが、日本に狙いを定めている投資家の多数派は、日本の投資家の弱さを突く「弱い者いじめ投資家」である。「21世紀の総会屋」のようなアクティビストが少なくない。そのほかの投資家の多くも、旬のネタをあおってイベントとして、そこでの盛り上がりを利用して売り抜けるオポチュニスト。しかもマッチポンプ的な「最悪のたかりや」である。

確かに、ここまで悪しざまに投資家を全否定するのは間違っているが、そういう投資家は世界に多く存在し、日本に流れ込んできている投資家は、そのような投資家の割合が高く、世界的にもっともガラの悪い投資市場となっていることも事実なのである。

「正しい投資家」こそ必要

では、日本の株式市場に必要なものは何か。「正しい投資家」である。正しい投資家とは、正しい株価をつける投資家である。正しい株価で株を買い、売るときも正しい株価で売ることを目指す投資家である。割高になることを望まない。それが儲けになるとしてもだ。

なぜなら、それは長期的には、正しくない株価で取引して儲けようとする「悪い」「汚れた」投資家を引き付けることになり、正しい投資家にとって長期的利益を損なうからである。正しい投資家にとっての長期的利益とは何か。正しい市場がつねに存在している、ということによる経済全体へのメリットである。正しい市場とは、ほぼつねに正しい株価がつく市場である。正しい株価とは、企業の真の長期的価値を反映した株価のことである。

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