台湾ルーツもつ人気映画監督が描きたい歌舞伎町 映画監督・萩原健太郎さん単独インタビュー

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アメリカの大学で映画を学び、帰国後にCMやMVの演出からキャリアをスタートしました。それから、初めて手掛けたのが「東京喰種 トーキョーグール」(2017)です。

苦戦した「東京喰種 トーキョーグール」

これは急遽、監督の交代で自分に話が回ってきた作品で撮影時間が短く、スタッフや脚本も自由に選べない環境でかなり苦戦しました。おそらく他の監督は断ったのだろうと現場に入ってから理解しましたが、やりたかったし、やるしかなかった。

自分らしさをなんとか入れていこうとしましたが、「これは決まりだから」という現場を支配する古い思考に繰り返し直面しました。自分の力不足ですが、やはり厳しかったです。

それでもとても貴重な経験だったと思います。特に学びになったのは原作者との関係構築の重要性です。その経験を活かして、今回の「ブルーピリオド」では原作への向き合い方やスタッフィング、キャスティングも含めて本当にやりたいようにできたと思います。

――台湾のプロダクションとの合作が進んでいますが、その経緯を教えてください。

近年、映像界ではさまざまな形で日台合作が進んでいますが、その橋渡しを頑張っている方々がいます。その中でご縁が広がり、僕が若い頃からお世話になっている松野恵美子さん(芸能プロダクション「ザズウ」・代表取締役/映画プロデューサー)に台湾側と繋いでいただいたのが契機です。

僕の祖父や関わりのあった人たちの話を知っていた松野さんが、それを基にした物語を台湾との合作で映像化すれば面白いのではないかと提案してくれたのです。

台湾の製作プロダクション「グリーナー・グラス(瀚草文創/GrX Studio)」は、世界中の人材と一緒に面白いコンテンツを作りたいと2年前から国際的なコラボに力を入れている熱意あるプロダクションです。その活動の一環で日本にも来て、今回の合作の話が動き出しました。

――作品「琥珀KOHAKU:黒夜的叛徒」(仮題)の内容についてより具体的に伺えますか。

舞台は「台湾人が作った歌舞伎町」という事実をモチーフにしています。戦後の歌舞伎町がどのように街として再建されていったのか、その過程で台湾人や台湾華僑が深く関わっていたという背景が基になっています。具体的には、戦後のあの地域を舞台とし、その時代に生き抜こうとした台湾華僑の人々を中心に描く物語です。

舞台を実際の歌舞伎町にするのか、それとも架空の街とするかは検討中ですが、その街には多くの人々が関わります。日本人ももちろん登場するほか、表社会だけでなく裏社会に身を置く人々も描かれます。時代の混乱の中で必死にもがきながら、生きる道を切り拓こうとする人々の姿を描くストーリーです。

――映画とドラマのどちらになりますか。

ドラマシリーズとして、日本と台湾の合作で製作します。とはいえ、実際にはほとんど台湾側が主体となる形です。今回の台湾滞在では、グローバルに向けてどのような内容を発信できるかを考えるため、脚本家チームやプロデューサーチーム、そしてもう一人の台湾人監督と話し合いを重ねて、ようやく方向性が見えてきたところです。

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