新卒採用担当者は肯定的な反応、東京大学「秋入学に全面移行」に関する緊急アンケート
それぞれの理由を見てみよう。「個々の大学の判断」の理由では、大学の主体性、多様性、個性を重視する意見が多い。小中高のカリキュラムは学習指導要領で決められているが、大学は「自由な学の府」と形容されることもあるから、大学自治の伝統を尊重する考え方といえる。
◇全ての大学に秋入学を導入したら、大学の個性もなくなってしまう。大学が主体的に入学時期を選択するべき。その中で秋入学をしないという選択肢もあると思う。
◇入学時期も各大学の特徴と考えれば、それぞれの判断で良い。有力な大学が秋入学で揃ってくれば、必然的に流れが決まるように思える。むしろ優秀な学生が集まらない大学は淘汰されるべきだと思う。
「統一ルール」を支持する理由は、学生の負担、受験・就職活動の混乱、制度改変は一気にやるべきだというものが多い。「大学受験は高校を卒業後実施。会社の採用活動も大学卒業後実施」は過激だが、そういう制度設計もありうるので紹介する。
◇やるのなら全大学で統一しないと、学校も学生も企業も皆混乱すると思う。
◇個別対応だと、なかなか前に進まないことが予想されます。制度導入に関しては、一気に進める必要があるので、全大学で結束して取り組むことが望まれます。
◇大学受験は、高校を卒業後実施する。会社の採用活動も大学卒業後実施することにより、それぞれの行事が学生生活(高校3年間、大学4年間)を犠牲にすることなく実施できる。
結果入社日は現行どおり4月で統一できます。社会人になるまでに計1年間延びることになりますが、現在の精神年齢を考えればこの方がよい。
秋入学を前向きにとらえる企業は規模が大きい企業が多いが、中堅・中小企業では、さまざまな問題を指摘する意見が多くなる。下記の意見はいずれも1~300名、301~1000名規模の企業のものである。
◇春入学・卒業の大学が残っているとすれば、新卒定期採用の入社日が年2回となることも検討要。
◇通年採用になり、採用に要する期間が長くなる。
◇通年採用化することで、採用担当者および採用コスト増が企業にとっては大きく負担になる。