「脳死は否定するのに移植を望む」はおかしい? 医学的な事実を理解していれば無用な迷いは消える

脳死を受け入れない人々
死を全否定する人は、脳死が人の死であることもなかなか受け入れにくいだろう。
脳死とは、「脳幹を含む全脳死」のことで、「脳幹」とは大脳と脊髄の間にあり、呼吸と循環をコントロールする部位である。いわば生命維持の中心で、ここが死ぬと呼吸も心拍も止まるので人は死ぬ。
脳死と混同されがちなものに「植物状態」があるが、これは大脳が死んでいるので意識はないが、脳幹が生きているので、呼吸も心拍も維持される。水と栄養を与えれば生き続けるので、植物と同じという意味でそう呼ばれる(かつては「植物人間」と言われたが、これは言われた側を傷つける表現として、今は不適切とされる)。
脳幹が死んでも、早い時期に人工呼吸器をつけると、しばらく心臓は動き続ける。この状態で心臓を取り出すと、心臓移植が可能になる。
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