フジ・メディア株「異常な出来高」に潜むシナリオ 堀江氏のニッポン放送買収騒動時を連想させる
フジ・メディアHDの株式時価総額は足元で約4600億円。それに対して純資産は2024年9月時点で8771億円もある。賃貸用オフィスビルや商業施設などの賃貸等不動産(土地も含む)は同年3月末時点で3361億円、含み益は約690億円あった。
投資妙味はある。国内のアクティビストや事業会社に売りつけたい海外の別のアクティビストなど、さまざまな投資家が登場している可能性がある。上場企業の発行済み株式数の5%超の株式を保有した際は、5日以内に大量保有報告書を提出する義務がある。今後数日はその開示の内容が注目される。
一方、安定的に株式を保有し続けて経営陣の方針に理解を示してくれる安定株主は、フジ・メディアHDにどの程度いるのか。鈴木氏が分析したところ、「一般的には高い比率であるが盤石とはいえない」という。
一般的に安定株主としてみられている金融機関などの機関投資家は、議決権行使の基準を厳しくしつつも、企業との対話を重視するなど、スタンスを変えてきている。「金融機関は安定株主だ」とひとくくりにはできない。
フジ経営陣に「覚悟」はあるのか
実際、不祥事を機に厳しい総会を迎えた企業もある。2024年の阪急阪神HDの定時株主総会。角和夫会長(当時)の再任案の賛成率は57.45%と前年から33ポイント下がった。宝塚歌劇団での女性俳優の死亡をめぐって、理事を務めていた角氏や阪急阪神HDにも批判が集まった。
国内生保4社や運用会社などの計20社の議決権行使状況を調べたところ、10社が角氏の反対に回っていた。これが賛成率の低下に影響したとみられるが、このとき日本生命は賛成、運用子会社のニッセイアセットマネジメントは反対した。
日本生命が賛成した理由は「原因究明、責任の所在の明確化、再発防止策の策定につき、対応済みであることが確認できたため」。ニッセイアセットが反対した理由は「重大な反社会的行為に関する基準に該当」だ。
ある運用会社の議決権行使に関わる担当者はこう明かす。「危機意識や改善に向けた熱量を本当に持っているのか。社長自ら投資家との面談に応じてくれるのか、なども判断に影響する」。
1月17日の港浩一社長らフジテレビ幹部の会見は、社会に向き合う姿勢が欠けていた点を酷評された。はたしてフジ・メディアHDの経営陣には社会や株主などステークホルダーに向き合う覚悟はあるのだろうか。
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