そこで家原さんは改めて自分が興味のあることが何かを考え、18歳に至るまでずっと自分が続けてきて好きなことは「絵を描くこと」しかなかったと思い当たります。
「やっぱり自分は美術が好きだったし、それを人に見せてほめられることも好きだったので美大に行きたいと思い始めたのです。高校でも、小学校から続けていた模写をしたり、自分で構図を考えてオリジナルの絵をずっと描いたりしていましたし、ほかにやりたいことはないなと。
6月には浪人を決断したのですが、8月まではとりあえず静岡大学に通って、後期から休学して東京に引っ越し、御茶の水美術学院の夏期講習から参加しました」
初心者の状態で美大受験の世界に
しかし、まったくの初心者の状態で美大受験の世界に飛び込んだ彼は、初めて美大予備校に行ったときに世界の違いを見せつけられたそうです。
「御茶の水美術学院に初めて行ったときの衝撃は、今でも忘れられません。周りが信じられないくらい絵が上手だったんです。同じ人間がどうしてこのような絵を描けるんだろうと。
小・中・高のクラスではつねに絵がうまい人というポジションだったのですが、ここでは圧倒的に自分がいちばん下で、アイデンティティや自尊心が砕かれた瞬間でした」
家原さんは「東大を目指す人々のコースに偏差値が50もない人がいきなり入ってきた感じ」と当時の衝撃を振り返ります。
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