「つぶれる百貨店」「生き残る百貨店」の明確な違い インバウンド需要の恩恵があるのはごく少数
日本百貨店協会の資料によると、名古屋地区の百貨店の売上高は2023年度は、すでにコロナ前比(2019年度)で11.4%増加、2024年に入っても4~6月は+14.1%、7~9月も+5.3%と増収を維持しており、10月は▲1.2%となったが、11月は+9.8%に回復し、地域全体ではおおむね好調な状態をキープしているといっていいだろう。
ただ、店舗ごとに個別にみると、店によってかなり勢いが違う。次の図表は名古屋地区の百貨店4店舗の売上高推移を示したものだ。地域トップのJR名古屋タカシマヤと2位松坂屋名古屋店が大きく伸ばしているのに、3位名古屋三越栄店、4位名鉄百貨店本店はコロナ前にも戻っていない。
その背景は、大都市百貨店の好調を支えているのが、インバウンドと富裕層消費であることから、その恩恵は企業ごとに偏りが出る、ということに尽きるだろう。
JR名古屋タカシマヤにインバウンドが集中
インバウンド客の動線は、ゴールデンルートと呼ばれる東京、大阪を新幹線で移動しつつ、途中で分散するというものだ。名古屋は主に高山、白川郷方面への乗り換え拠点という傾向もあるらしい。中部国際空港セントレアという入り口ルートはあるものの、全体からすればその比率は低いようで、どうしても新幹線名古屋駅がインバウンドの玄関となる。
そのうえ、インバウンド客のデスティネーションではないため、市内を回遊するという動線は細い。結果、新幹線駅直結のJR名古屋タカシマヤにインバウンドは集中しており、2024年に売上高2000億円越えを達成しているのだが、インバウンド向け売上(免税売上)が倍増したことが大いに貢献しているのだという。
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