トランプ政権発足、対峙する石破首相に今必要な事 フラット化の時代から「逆戻り」する世界
2008年には、アメリカの投資銀行、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した金融危機で世界経済が急失速。民主主義国ではない中国が巨額の財政出動に踏み出し、危機克服に貢献した。
2009年に発足したアメリカのオバマ政権は中国に対して融和的な「関与政策」をとったこともあり、中国は東アジアなどで軍備拡張をじわじわと進めた。オバマ大統領は、8年の在任期間の後半では対中強硬策に軌道修正するが、中国の軍事的・経済的台頭を抑えることはできなかった。
2014年には、強権国家の代表であるロシアがウクライナ領のクリミアに派兵して一方的に併合。アメリカや日本が加わるG7などがロシアに対する経済制裁に踏み出したが、日本の安倍晋三首相(当時)がロシアのプーチン大統領と会談を重ね、親密さをアピールするなど、西側各国の足並みはそろわなかった。中国とロシアの動きは、アメリカ主導の民主主義の拡大にブレーキをかけることとなった。
アメリカがグローバル化に逆行
2017年に発足した第1次トランプ政権は、移民の流入を阻止するためメキシコとの国境に壁を建設する計画を推進。TPP(環太平洋経済連携協定)からの脱退など、アメリカ自身がグローバル化に逆行する動きを強めたのである。
2020年の大統領選では民主党のバイデン氏がトランプ氏を退けた。しかし、バイデン政権はアフガニスタンからのアメリカ軍撤退で混乱するなど外交の立て直しは進まなかった。その足元を見透かしたロシアのプーチン大統領が2022年2月、ウクライナ侵略を強行。ウクライナの懸命な抵抗と西側諸国の支援によってロシアの侵攻は食い止められているが、和平への道筋は見えていない。
中国はロシアの立場を支持。北朝鮮は派兵し、ロシア軍とともにウクライナ軍と交戦するなどロシア・ウクライナ戦争は東アジアの国際関係にも影を落としている。
2023年10月に始まったパレスチナ・ガザ地区の紛争は、イスラム組織・ハマスによるイスラエルへの攻撃が発端だが、イスラエル側の大規模な反撃によって多くの民間人犠牲者が出ている。冷戦後に進んだ市場経済の広がりや民主化の流れ、平和構築などにブレーキがかかり、フラット化は逆戻りしているように見える。
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