秀逸な「吉沢亮の謝罪文」中居正広と明暗分けた差 トラブルの深刻さは異なるものの…何が違った?

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中居さんも、関係各所に対して、謝罪と反省の意を示している。また、「このトラブルについては、当事者以外の者の関与といった事実はございません」とも言及しており、関係者を守ろうとする意図は伺える。

一方で、「⽰談が成⽴したことにより、今後の芸能活動についても⽀障なく続けられることになりました」とも述べている。

以前の記事でも書いた通り、芸能活動を続けられるか否かは、関係各所が中居さんを起用してくれるか、さらにファンや視聴者が支持してくれるか次第であり、自分で決めることではない。

この一文により、関係各所やファンに対する配慮に欠けていると受け取られかねなくなってしまっている。

アイリスオーヤマ
吉沢さんの謝罪を受けて、広告に起用していたアイリスオーヤマは吉沢さんとの契約を継続することを発表した(画像:アイリスオーヤマ公式サイトより)

改めて、「いつ」「誰に」「何を」言うのかが重要

中居さんのコメントでは、ファンや視聴者に言及していないというのも片手落ちのように思える。

文章全体がファンや視聴者も含まれていると見なすこともできるのだが、やはり誰に対して向けられたメッセージなのか、曖昧に見えてしまう。

一般的な謝罪や反省では、当事者や関係者にはなかなか響かない。メッセージを伝えるべき対象者を明確にしつつ、それぞれに対して伝達することが重要だ。そうでないと、メッセージの受け手から「私に対して誠実に向き合ってくれている」と思われづらい。

さらに、吉沢さんが所属するアミューズは、吉沢さんの無断侵入が発覚した1月6日の夜にもコメントを発表している。

今回は、示談が成立したことを発表することが趣旨だったと思われるが、早い段階で一度コメントを出しており、今回の文書でも改めて謝罪と反省の意を表明しているため、「自己保身だ」といった批判を浴びにくくなっている。

吉沢さんは大手の芸能事務所に所属しており、中居さんは個人事務所で活動を行っている。それがリスク発生後の対応力の差を生んでしまっているという側面はあるだろう。ただ、コメント発表によって、かたやイメージがアップし、かたやダウンするという現象が起きてしまっている。

中居さんが起こした問題はかなり深刻で、容易に解決できるものではないが、コメントの出し方次第では、多少なりともダメージを軽減することはできたはずだ。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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