「金利ある世界」で一つの「財政の神話」が終わった 国債の利払い費が増加に転じ、政策的経費を圧迫

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予算では、想定金利を高めにして利払い費を多めに計上しているとの指摘もある。しかし、いまや国の一般会計の利払い費は反転増加に転じている。

決算ベースで2015年度の8.3兆円をピークにその後は減り続けていた。2022年度に7.1兆円まで減ったが、2023年度には7.4兆円と増えた。これは決算ベースの金額だから、利払い費を多めに見積もるという話とは違う。

金利が低いから利払い費は減り続けるという「神話」は終わったのである。

しかも、この利払い費の金額は、前述した2025年度予算案の防衛関係費に迫る多さで、文教及び科学振興費の5兆5496億円、公共事業関係費の6兆0858億円よりも多いのである。金利が低いから借金しても大したことはない、とはとてもいえない。

もし過去に負ったこの借金の利払いがなかったならば、文教及び科学振興費や公共事業関係費の年間予算を倍増できたのに、というわけだ。

「税収を国民に還元せよ」とはいうものの…

とはいえ、負った借金は帳消しにはできない。利払いが滞れば国家の一大事だから、利払い費は他の政策的経費よりも優先して計上しなければならない。利払い費に回る金額が多くなるほど、政策的経費は圧迫されてしまう。

利払い費をこれ以上増やさないようにするには、毎年度こつこつと新たに負う借金を減らしてゆくしかない。では、2025年度予算政府案での国債発行はどうなったのか。

税収が増える見込みであるため、国債発行は減る見通しである。2025年度予算案での一般会計税収も、過去最高を更新した。税収は78兆4400億円と、2024年度当初予算より8兆8320億円増える見込みだが、2024年度補正後予算ベースでは73兆4350億円だから、それと比べると5兆0050億円ほどの増加ということになる。

そのうち2.3兆円は2024年の定額減税を取りやめることで税収が回復し、いわゆる「103万円の壁」の引き上げ等で所得税が6750億円減ることを含み込んだものだから、税収の実質的な増加は2024年度補正後予算ベースと比べて約3.4兆円、4.6%増となっている。

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