そして、サッカー関連情報を扱う『SOCCER KING』のインタビュー「中山雅史と日本サッカー。ドーハの悲劇を原点とする成長物語」では、引退後、解説者となった自分について、率直な悔しさを語っています。
きっと、3年間ずっと「もどかしさ」を抱え、笑顔の中に心の火を絶やすことなく、虎視眈々と復帰の機会をうかがっていたのでしょう。
今後コンディションをプロのレベルにキープする努力は、並大抵のものではないと想像できます。ご本人も不安はあるでしょうが、自らの「内なる動機」を大事にしている人は、その動機をエンジンにネガティブな感情を打開できるもの。そのパワーを爆発させることで、かつてのプレースタイル同様、熱くて実直なサッカーに突き進まれることと思います。
錦織圭選手の記事などでも書いていますが、アンガーマネジメントのベースになっている理論は「ソリューション・フォーカス・アプローチ」。「未来志向で、今できることに集中し、最善の結果を目指そう」という考え方は、中山選手の思考にも生かされているのですね。
冷静な自己分析と「愛され方」の熟知
さらに、同書籍の中にはこんなコメントもありました。
サッカーは団体競技ですから、組織の一員として当然のコメントのようにも映りますが、中山選手のような”スター”が発言するからこそ、その意味がチーム全体に浸透し、チームの統制にも寄与します。
アグレッシブなプレーやテレビでのはつらつとしたコメントから、中山選手に「猪突猛進型」といったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、内実はクレバーそのものと、私は感じます。つねに冷静に自己分析し、自身の役割を正確に把握していらっしゃるのでしょう。
中山選手の藤枝東高校時代の恩師・鎌田監督の弁には、「中山は、自分の足りない面を何で補い、どのようにアピールするかを高校時代から知っていた」というものがありました。上手な「愛され方」をわきまえていて、愛されるからこそ貢献意欲を発揮し、高いパフォーマンスにつなげるプロセスを巧みに作ってきたのでしょう。
こうした点も、今回再び現役選手としてチームに招聘された一因なのではないでしょうか。
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