ジャフコ「セクハラ問題」に政投銀は曖昧な姿勢 政府系金融機関が問われる「ビジネスと人権」意識

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ジャフコ社内で起きたセクハラ事件が深刻なのは、加害者だけの問題ではなく、会社としてのハラスメント対応自体が適切だったのかが問われている点だ。

指宿弁護士によると、女性は事件後もジャフコで働き続けることを希望しており、セクハラ事件について「話すこと自体やめてほしい」と会社に伝えていた。しかし先述したように、月例ミーティングの場で加害男性に謝罪させた。これはジャフコ現社長の三好啓介氏の指示だった。

被害者が誰なのかそれとなく伝わったことで、女性は精神をすり減らす日々を送った。ジャフコは「公開謝罪」は女性の了承を得たうえで行ったもので、「再発防止のために適切な対応だった」としている。

「まずは責任を認めて対応すべき」と女性側

ジャフコはセクハラ事件が報道によって公になった後の昨年11月、「ハラスメント防止に関する方針」や内部通報制度を拡充したと発表した。当事者のプライバシー保護やセカンドセクハラの禁止などが盛り込まれている。

指宿弁護士とともに女性の代理人を務めている髙橋済弁護士は、「本件がなぜ起きたのか原因分析や謝罪がないままに、(ジャフコ側が)ハラスメント防止に関する方針を急いでつくったのが現状だ」と指摘する。実際、報道後もジャフコは、女性側にいっさいコミュニケーションを取っていない。

東洋経済は、ハラスメント防止方針の制定の背景や一連のセクハラ問題について三好社長にインタビューを申し込んだが、「相手方もあることであるため、辞退したい」(ジャフコ広報)との対応だった。

深刻なハラスメント被害が発生した。しかも、被害者を守る立場である会社がセカンドセクハラを行ったのではないかとの疑いは残ったままだ。その疑いを正面から晴らすことがないまま、時ばかりが過ぎようとしている。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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