家財道具共有サイトは事業として成り立つか AirbnbやUberと似て非なるもの?
ピアバイ創設者のウェドポールは、子供の頃にコンピュータやプログラミングに情熱を持つようになった。
「13歳の誕生日には、コンパイラーが欲しいと頼んだ」と、ウェドポールは言う。
火事で「人間は助け合う」ことを知る
彼は本を読み込み、オンラインの掲示板に参加して、プログラミングのスキルを磨いた。ともに精神科医だった両親は、彼の起業家精神とテクノロジーへの関心を応援した。しかし、ピアバイという夢に火をつけたのは火事の経験だった。
2009年2月、ウェドポールの住むアパートが火事にあった。彼とガールフレンドは、4階の彼の部屋に押し寄せて来る黒く濃い煙から逃れようと、必死になって這い進み、最終的には消防士に救助された。しかし、ウェドポールの所持品の大半は、火か水か煙によって使えなくなってしまった。
彼は落胆した。だが、その後の数カ月間、友人や見知らぬ人までもが、彼が立ち直れるようにと家具や道具などを提供してくれたのだ。その様子を彼は信じられない思いで見ていた。それは新しい発見だった。
「持ち物よりも、周囲にいる人たちのほうがずっと大切だと気付いた。人は他人を喜んで助ける。人間は、他人を助けるように生まれついている」
母親から相続した2万5000ユーロを元手に、ウェドポールはシェアのコンセプトを実現できるウェブサイトとアプリの作成に乗り出した。彼はアムステルダムのファウンダー・インスティテュートに入り、そこで起業家としての秘訣を学び、投資してくれる可能性のある投資家を紹介してもらった。そして、2012年9月、ピアバイが誕生した(この社名は、「ピアツーピア」と「ニアバイ(近隣の)」を組み合わせて作られた)。
ウェドポールは破綻した企業についても研究した。彼は「違う方法で進めなければならないとわかっていた」と言う。
彼はビジネスモデルをひっくり返して、物を提供する人ではなく、借りる人にフォーカスした。貸し出す品物を並べた長いリストを提示するのではなく、ユーザーが求めているものに焦点を絞ったのだ。登録者の中で、必要な品物を提供できる人のネットワークを作るため、アルゴリズムを開発した。あるメンバーが何かを借りたいと要請すると、そのアルゴリズムに基づいて、近隣のメンバーにお知らせが送られるという仕組みだ。
(執筆:Janet Morrissey記者、翻訳:東方雅美)
(c)2015 New York Times News Service
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