家財道具共有サイトは事業として成り立つか AirbnbやUberと似て非なるもの?
創設者のダーン・ウェドポールによると、同社はこれまでに10万件以上の取引を処理し、同社のデータベースには合計で10億ドル分以上の品々が登録されているという。また、2015年末には登録会員数は50万人になるだろうと話す。
こう聞くと、とても期待が持てそうだ。しかし、おカネを稼げる事業として将来的に有望かどうかは、まだ見えてこない。収益獲得への道の途中には、このニッチな市場で失敗したスタートアップ企業の残骸が、ゴロゴロ転がっている。クラウドレント(CrowdRent)、シェアサムシュガー(Share Some Sugar)、ビッドアンドボロー(Bid & Borrow)、エコモード(Ecomodo)、シングループ(ThingLoop)、ヘイネイバー(Hey Neighbor!)などだ。どれも2007年から2010年の間に創業し、すべて破綻した。ピアバイは、他社が失敗している事業で本当に成功できるのだろうか。
「所有」から「アクセス」にシフトする社会
一部の専門家はタイミングがすべてだと言う。失敗したスタートアップ企業は、モバイルアプリやシェアリング・エコノミーのトレンドが広がる前に事業を開始した。ほかには、ビジネスモデルの貧弱さを失敗の原因として挙げる人もいる。
このビジネスは、表面上は当たり前のように思えるアイデアだ。買いだめした予備の雑貨や、クリスマスにもらった使う予定のないプレゼント、あるいは埃をかぶった洋服などを、誰もが地下室や収納にため込んでいるのではないだろうか。
もし近所の人がこうした品々を欲しがったら、人々は喜んでシェアするだろうと、このアイデアを推進する人たちは考える。『シェア ――<共有>からビジネスを生みだす新戦略』の著者、レイチェル・ボッツマンは、2008年のリセッションとスマートフォン・アプリの一般化が、「シェアリング・エコノミー」革命のきっかけとなったと思われると話す。
人々はちょっとしたおカネを工夫して手に入れる方法を探し、その結果、物を買う代わりに借りたりシェアしたりすることにシフトするようになった。
「所有する社会からアクセスする社会に移行しつつある」。そしてその移行の多くがスマートフォンを通じて起こっている。そう話すのはグレイロック・パートナーズのパートナー、サイモン・ロスマンだ。同社はAirbnb(エアビーアンドビー)やフェイスブックに初期の段階で投資をおこなった企業だ。
チェグ(Chegg)やリフトなどのスタートアップ企業に投資を行ってきたフラッドゲートの創設者、アン・ミウラ‐コーによると、ミレニアル世代は所有よりもシェアを好むという。しかも、シェアする対象に例外はないようだ。なかには、自分のペットを貸したい人向けのサイト、ボローマイドギー・ドットコム(borrowmydoggy.com)まで存在する。
エリクソン・コンシューマーラボが行った調査では、スマートフォンユーザーの半分以上が、他人のレジャー用品や部屋や家財道具を借りても構わないと考えていることがわかった。
この調査についての報告書を執筆したミシェル・ビョルンは、「アプリを使うだけで車を借りたり、タクシーに乗ったりすることに人々が慣れており」、家財道具をシェアすることはその延長線上にあるに過ぎないと話す。