不動産不況の長期化は、1つの問題が新たな問題を呼ぶ負の連鎖を中国経済にもたらしている。中でも深刻なのが、地方政府の土地売却収入の激減が地域経済に与える影響だ。
中国財政省のデータによれば、2024年1月から11月までに実施された公有地の払い下げに伴う財政収入は、2021年の同じ期間の半分未満だった。
「土地売却収入の減少により、地方政府は(インフラ投資などへの)財政支出の削減を迫られ、総需要の縮小を招いた。さらに、地域経済に対する地方政府の関わり方が(財政支出を通じた)『支え手』から(徴税強化などによる)『収奪の手』に変わり、地域経済の活力を損なっている」(陸氏)
トランプ政権発足も打撃に
陸氏はさらに、アメリカでの第2次トランプ政権の発足が中国の輸出に与えるインパクトを過小評価してはならないと指摘した。
中国製品に対するアメリカ政府の関税引き上げに対応して、中国企業は生産拠点の(東南アジアやメキシコなどへの)海外移転を進めた。だが、第2次トランプ政権はこうした“迂回輸出”に厳しく対処すると見られる。
また、「Temu(テム)」などの越境EC(電子商取引)サイトは、個人宛て小口貨物の関税を免除するアメリカの特例措置を利用して対米輸出を急拡大させた。しかし今後は、特例の見直しや通関手続きの複雑化などの不確実性に直面する可能性が高い。
「アメリカの政権交代が中国経済に与える影響は、関税の問題だけにとどまらない。アメリカが自国のサプライチェーンから中国を排除する動きを強めることで、海外から中国への直接投資が減少し、中国の科学技術の進歩や産業の発展にも影を落としかねない」。陸氏はそう警鐘を鳴らした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は2024年12月23日
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