「東インド会社への復讐」画策した男の悲しい末路 世界初の空売りはどう行われた?歴史振り返る
今日では、株価が急に下落し始めたときのお約束は、会社のCEOがテレビに顔を出し、株価下落に賭けている人々は噂をばらまいている、と主張することだ。皆さんの年金がわが社に投資されています! 寡婦や孤児のことを考えてください! 誰もが株式市場が右肩上がりに上昇することを望んでいる。株価下落に賭けるなんて悪党のやることに思えてくる。
でも、株式市場の重要な点は上昇することではない。株式市場の重要な点は、株の適正な価格を見極めることにある。つまり、企業の業績や世界情勢について入手可能なあらゆる情報を一番まともに反映した価格を見つけることだ。
明らかに、株式市場はときどきこの任務にみじめなほど失敗する。でも、市場に投資家が増えれば増えるほど――そして、とりわけ重要なことだが、彼らがより多くの情報を市場にもたらせばもたらすほど――市場は適正な価格を見いだすようになるだろう。
株価の下落時に利益を得る人間の存在を許すことは、投資家が詐欺的な行為を根絶したり、知られていなかった悪いニュースを広めたりするインセンティブを生み出す。これはよいことだ。
ル・メールのその後
イサック・ル・メールは自分のものだと主張するカネの件で当局と揉め続けた。ル・メールがカネを手にすることはなかった。ル・メールは海辺の小さな町で死に、次のような墓碑銘の刻まれた墓の下に埋められた。
これは、死者がどれだけ大金を失ったか誇らしげに宣言する、世界で唯一の墓石かもしれない。おまけに、ちょっとした書き間違いもあるようだ。死ぬ前に書いた手紙で、ル・メールは自分が失ったのは160万フローリンだと書いている。墓碑銘にはゼロがひとつ足りない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら