日豊本線ルート及び、その部分開業にあたる鹿児島中央先行ルートは、2016年3月の調査結果にて事業費の試算や時短効果が示されており、事業費は小倉駅が位置する北九州市から鹿児島市へのルートで総額2兆6730億円。大分駅から宮崎駅の区間で1兆1840億円、宮崎駅から鹿児島中央駅の区間が7110億円とされているが、8年前の調査結果であり、近年のインフレなどを考慮すると、相当上振れしていると思われる。
時短効果は、大分駅から宮崎駅で現行約3時間20分が約50分に、宮崎駅から鹿児島中央駅が現行の約2時間10分から約30分に、それぞれ短縮されるとしている。
博多駅を起点と考えた場合、日豊本線ルート、小倉駅、大分駅経由で宮崎駅まで約1時間40分。鹿児島中央駅経由だと最速のみずほでも1時間55分程度と見込まれる。
人吉市、えびの市や小林市辺りを経由する新ルート
新たに検討される新八代ルートは、九州新幹線新八代駅で分岐し、宮崎市へ向かうというルートであり、現在運行されている高速バス「B&Sみやざき」のルートに近いものと考えればよいだろう。
まだ構想段階であるため、詳細なルートは未定だが、人吉市、えびの市や小林市辺りを経由すると考えるのが妥当だろう。
新八代ルートを人吉、小林経由として大まかな線を引くと約130km。同じように山間部を通る久大本線ルートの調査結果を元に大まかな事業費を試算すると、9000億円から1兆円と試算された。
日豊本線ルートに比べれば、やや安価ではあるが、それでもかなり大きな事業費である。
仮に新八代ルートで新幹線が建設された場合、博多駅から宮崎駅の所要時間は1時間30分ほどと想定され、3つのルートの中で最も時短効果が大きい。
ただし、久大本線ルートと同様、新大阪駅へ向かうと、かなり大回りになってしまうため、日豊本線ルートでは新大阪駅から宮崎駅が約3時間半、新八代ルートでは約4時間と30分の差が生じる。
また、宮崎へのルートの場合、航空機との競合も検討材料である。
福岡空港から宮崎空港のフライトは所要時間45分であり、市街地に近い福岡空港と、鉄道とバス双方でアクセス可能な宮崎空港を発着地と考えると、新幹線の1時間30分という所要時間は、航空機と五分五分といったところで、対大阪となると航空機が若干有利となる。
このように、大分県、宮崎県ともに新ルートを提案し、東九州新幹線建設の機運を高めるべく奮闘中である。
ただ、どのルートにせよ福岡県や鹿児島県の賛同が必要であり、宮崎県が提案する新八代ルートでは、東九州新幹線にはまったく関係のない熊本県の協力が必要となる。
こうした他県の協力を得るため、大分県と宮崎県には九州全体の利益につなげる活動が必要となってくる。
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