半世紀も着工せず「東九州新幹線」独自ルートの夢 建設の機運を高めるべく大分と宮城が動き出す

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大分県や宮崎県が独自ルートの提案を始めたのは、この現状を鑑みて、より実現可能な方策を求めての動きといってよいだろう。

日豊本線ルートよりも現実的?

このルートは九州新幹線の新鳥栖駅で分岐し、久大本線に沿って大分へ向かうものであり、途中駅など詳細なルートは決まっていないが、沿線最大の都市である日田や、知名度の高い温泉地である由布院などを経由するのが自然だろう。

建設事業費は、日豊本線ルート案が8195億円、久大本線案は山岳部が多く、トンネル区間が多いため8339億円とやや高額になり、費用便益比においても日豊線案が1.27倍、久大線案が1.23倍と、日豊本線ルートがやや優勢ではあるが、2つのルートにそこまで大きな差はない。

鉄道路線に翻弄される地域社会 - 「あの計画」はどうなったのか?
(図:『鉄道路線に翻弄される地域社会 - 「あの計画」はどうなったのか?』より)

所要時間は博多駅までは日豊本線ルートで47分、久大本線ルートで46分と、ほとんど変わらないが、新大阪駅へは日豊本線ルートでは現行よりも50分ほど早い約3時間半、久大本線ルートでは4時間以上と、ここでは30分以上の差が開く。

特に久大本線ルートでの新大阪への所要時間は、現行の山陽新幹線と特急ソニック乗り継ぎの所要時間と大きく変わらない。

東九州新幹線の運行主体はJR九州となるが、博多駅から小倉駅の区間はJR西日本所有の山陽新幹線であるため、日豊本線ルートで博多駅と大分駅を結ぶ列車を運行する場合、さまざまな制約を受ける反面、久大本線ルートではそうした制約がないというメリットがあるといった具合に、どちらのルートも一長一短である。

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