まだヤーレンズがさほど知られていなかった昨年登場のタイミングでは、この強烈な個性がプラスに働いていたわけですが、楢原さんがもつ個性が周知されてしまった今年は、このパブリックイメージが「マイナス方向に働いてしまった」という理解です。
同じく審査員である海原ともこさんの「もっとしょうもないのが見たかったです」という発言からも、私はこんな風に思いました。もし「あの短丈ジャケットが、昨年以上に極端に短くなっていたら、同じ漫才であったとしても、受け手の印象として、だいぶ攻めているように感じた」のでは。
もちろん私は、ただ結果論を語っているだけですが、それだけパブリックイメージの存在は大きいのです。
2秒で役割が伝わったバッテリィズの衣装戦略
一方、第1ラウンドで最高得点をたたき出したバッテリィズは、テレビで見かける漫才師に比べ、ある意味「何者か伝わっていない」状態。にもかかわらず、お二人の掛け合いがスッーと入ってきたのは、漫才の技術はもちろんですが、衣装の棲み分けも関係していたのではないでしょうか。
ネイビーのセットアップスーツに同色ネクタイを締めたツッコミである寺家さんの着こなしに比べ、ボケのエースさんは「イタリアのオレンジ色とも言われる」レンガのようなテラコッタ色のスーツを着崩していました。まさに着こなしのコントラストが、2人の役割を、瞬時に伝える効果を担っていたように感じたのです。
審査員として95点をつけたオードリー若林さんは、「小難しい漫才が増えてくる時代の中で、なんかワクワクするバカが現れたなと。日本を明るくしてくれそうで。寺家さんが、漫才のリズムをキープする腕も確かだなと思いました」とコメント。
まさにエースさんの陽気な雰囲気を表した暖色系のテラコッタ色と、銀行マンのような寺家さんのネイビーのネクタイを締めた着こなしは、お二人の役割を的確に表すコーディネートとして、漫才のコンセプトにピッタリだったと感じた瞬間でした。
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