瀬戸内海の離島が「留学先」として注目のワケ 「全校生徒数が93名」の広島県立大崎海星高校

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大崎海星高等学校
大崎海星高等学校(筆者撮影)

前田秀幸校長によると、この高校の教育における最大の特徴は3つあり、それは「大崎上島学」の実施、公営塾「神峰学舎」と教育寮「コンパス」の開設だと言います。

元々、地域みらい留学の取り組みがスタートする前に、2014年2月に広島県教育委員会の発表した基本計画により統廃合の危機に立たされたことがきっかけに大崎海星高校魅力化プロジェクトが発足。3年間で結果を出さなくてはいけない待ったなしの状況の中で生まれたプロジェクトだったのです。

大崎上島学とは

3つの中でもユニークなのが、「大崎上島学」です。簡潔に言うと高校3年間での改題解決型のキャリア教育の名称です。島の伝統文化や地域の取り組みなど、島のすべてを題材としたダイナミックな設計になっていて、各学年で次の内容を学んでいきます。

大崎上島学
1年生「羅針盤学」自らの価値観や信念、特徴を知り、方向性や志を立てる
ー自分の得意や自分のプロジェクトを持ち、将来の夢を実現性のあるものに導くー
2年生「潮目学」現実の世界を知り時代の潮流を読む
ー世の中の変化を正しく理解し、時代に合った技術の活かし方を知るー
3年生「航学」志と夢を実現させるためのリーダーシップとスキルを学ぶ
ープレゼンテーション、ファシリテーション、チームビルディングを学ぶー
(ホームページより引用)

ふだん学生と接する中で、日本の高校生や大学生は海外の学生と比べて、将来何がしたいという具体的なキャリア像を持っている人は少ないと感じています。そういう意味でも高校1年生の際に「自分とは何か」と問いを立てることは、その後の進路やキャリアを決めるうえで効果があると筆者は感じます。大学生になり就活のタイミングで自分探しをしても遅いのです。

その次の2年生での潮目学は知的資本をインプットするための学習期間と考えられますが、3年生の航“界”学という成果発表を最大化するための計画的な流れで構成されていると思います。実際に3年生のクラスを見学した際には、地域の食について熱弁する学生がいたり、伸び伸びと前のめりで課題に取り組んでいる姿が印象的でした。

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