世界を読み解くカギは「西洋哲学」の中にある 「江戸時代の日本思想」をいま再評価すべきだ
だから、プーチンのロシアは西洋文明に反抗していると見なされ、西側諸国は目の敵にしているわけです。理性至上の西洋的価値観が限界を迎えつつあることが、今の世界の混乱とも関係しているのです。
「江戸時代の日本思想」を再評価すべき
歴史は起こった事実を学ぶもので、私たちは現実から出発するべきです。しかし学校の教科書ではプラトン、ルソーといった理想主義的な思想に偏りがちです。理性中心主義がもたらした現在の世界の混乱を踏まえ、現実に立脚した哲学から学ぶことが今こそ必要です。
具体的には、トマス・アクィナス、ライプニッツ、エドマンド・バークなどで、彼らの思想には東洋思想との共通性があります。また、キリスト教を批判したニーチェやアダム・スミス、カール・ポパー、ハイエクなども重要です。彼らのように、現実に根ざした哲学を展開した哲学者を見直すべきなのです。
そして、明治以降、西洋文化を取り入れる借り物文化に終始してきた日本。未来を切り開くには、日本人は、日本の歴史を踏まえた自分たちの哲学を言語化し、西洋を導く立場に立つべきです。その実現の鍵は江戸時代にあります。
『古事記』や『万葉集』を再発見した賀茂真淵や本居宣長の国学、伊藤仁斎の「仁」、荻生徂徠の政治哲学など、江戸時代に確立された独自の理論を再評価すべきです。
これらの思想が形になる寸前に明治維新で西洋思想が流入しました。しかし、そもそも西洋哲学は日本社会に根っこがないのです。そのため日本では西洋哲学は大学内の閉鎖的な議論に留まり、日本社会にまったく影響を与えていません。西洋哲学が日本社会に根付かない理由はここにあります。
今こそ日本の社会と伝統、歴史に根差した哲学を自分たちの言葉で語りましょう。西洋哲学が行き詰まったいま、日本人が世界をリードする時代はここから始まるのです。
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