世界を読み解くカギは「西洋哲学」の中にある 「江戸時代の日本思想」をいま再評価すべきだ
そこにキリスト教が広まってきました。キリスト教は「唯一神が世界を設計した」という思想ですが、これこそコスモポリタン的、グローバルな思想なのです。キリスト教がヨーロッパで広まる前の段階で、現在にも通ずる世界共通の価値観を求めるようなメンタリティが、古代ギリシア・ローマの世界に存在していたと思うのです。
西洋文明の理性至上主義の功罪
時を経て、中世ヨーロッパの哲学には、「唯名論(ノミナリズム)」を唱える人たちが現れます。端的に言うと「人間が理性を使えば、様々な観念を作っていける」という考え方です。もともとグローバルな宗教であるキリスト教の枠の中で、普遍的価値を聖書(神の言葉)に求めず“人間の理性”で探求していこう、学問と信仰を切り分けて、学問を追求しようと言い始めた。これが近代革命=理性中心主義につながっていくのです。
理性中心主義は近代の哲学者・数学者のデカルトやニュートンに端を発しますが、根本は唯名論にあるということです。唯名論は西欧社会に根深く浸透し、西欧人独特の思考パターンを生み出したのです。
17世紀以降、ニュートンら多くの科学者により、新たな宇宙論である理神論が提唱され、科学革命が起こり、圧倒的な軍事力を持つヨーロッパ人は、近代革命を知らない他文明の人々を「理性が足りない野蛮人」とみなし、欧米による世界征服、植民地支配につながっていきます。
19世紀には、ダーウィンの進化論の「適者生存」という概念が社会に応用されました。これがいわゆる社会ダーウィニズムです。進歩史観と結びついた社会ダーウィニズムは、西欧諸国の帝国主義を正当化する理論として機能しました。
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