世界を読み解くカギは「西洋哲学」の中にある 「江戸時代の日本思想」をいま再評価すべきだ

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しかし現実には、不法移民が後を絶ちません。彼らにまつわる犯罪――性犯罪、麻薬、人身売買などが増加しアメリカの治安が悪化しています。不法移民の受け入れの取りやめを掲げたのがトランプ氏で、1期目の大統領任期中にはメキシコとの国境に巨大な壁を作って不法移民の流入を食い止めました。

「理想を掲げて急に推し進めようとしても、逆に、別の問題が起こってくる」――実際に世界を見渡すと、トランプ氏のような主張を掲げる政党はまだ非主流派とはいえ、これが今の世界の大きな枠組みです。

理性主義が西洋世界を拡大させた

21世紀の世界――とりわけ、宗教、科学、文化に深い影響を与えてきたのは西洋哲学です。その西洋哲学も振り子のようになっていて、いわば「理想追求」と「現実立脚」という2つの考え方がずっと対立してきました。古代ギリシア時代、理想の世界は天国のようなイデア界にあると説いたプラトンと、万学の祖とされ、現実から検証しようとしたアリストテレスを想像すれば理解しやすいでしょう。

西洋哲学には常に理性主義という考えがつきまといます。

「人類の共通の価値観は理性を使えば持てる、理性は全人類が持っているから」

この理想追求型の理性主義と、西洋世界の拡大が強く結びつくのです。

紀元前4世紀、古代ギリシアのマケドニア王国のアレクサンドロス大王はアジアに東征し、ギリシア文化とオリエント文化が混じり合いヘレニズム文化が形成され、ギリシア人が世界帝国を築いていく。

そうした時代背景のもとに、「世界こそが我々の国家であり、 我々は世界市民(コスモポリタン)だ」という考え方(世界市民主義)が生まれてきます。今日でも「自分は日本人じゃない、地球市民だ」という人たちがいますが、2400年前からこういう思想があった。

これを受け継いだローマ帝国時代の哲学がストア派で、理性を基準に世界共通の価値観を持とうというグローバリズム、これが西洋哲学のスタンダードになっていくのです。

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