「3カ月で4キロ減量」成功したのに心を病んだワケ 「成功体験」がなぜか無駄になる人"2つの特徴"
彼女は答えた。
「運動しないと、体重が増えてしまうのではないかと不安で心が潰れてしまいそうだったから」
成功体験は、自分のメンタルを苦しめる時がある
彼女は誰が見ても成功と言える成果を出した。
体重55キロが突然51キロまでダウンした、その下がり幅そのものが成果である。
しかし、物理的な成果とは裏腹に、その成功体験は彼女のメンタルに凶悪な闇を作った。
その闇こそが、「努力を続けないと悪いことが起きるのではないかと不安になる」ことだ。
これはなかなかタチの悪い闇で、人の成功体験を原資として存在している例が多い。
つまり、努力したことによる成功が今の自分を作っており、だからこそ、努力しないなら成功はなく、今の自分が消える。
そう考えてしまう、一種の強迫観念である。
この強迫観念の最たる例として「強迫症」なる病が存在する。
この「強迫症」は、世界保健機関の報告において、生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つとされているものだ。
例えば、「手が汚れているのではないかと気になって、一日に何十回・何百回も洗う」や「家の鍵を閉めたか気になって、出勤途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」など、自分でもおかしい、つまらないことだと分かっていても、そのことが頭から離れず、何度も同じ確認や行動を繰り返してしまう、日常生活にも影響が出る重篤な病である。
その結果、本人の健康やメンタルの正常稼働を阻害し、最悪の場合、今回のようなケースを引き起こすこともある。
彼女は並々ならぬ努力の結果、成果とともに自己肯定感を手にした。
彼女はきっとこう思ったのだ。この成果は努力によって手に入れたものであり、裏を返せば、努力なくしてはこの成果はない。つまり、今後も努力すれば同様に成果を掴めるが、努力しなければ元の自分に戻ってしまう。
私はこの現象を、先ほど「成功者の闇」と表現した。
「闇」と表現した理由は二つある。一つ目は、何を恐れているのかが本人にしか分からないこと、二つ目は、その状態が悪化した時に現れる症状に決まった形がないこと。
これらは非常に厄介だ。周りから本人の闇が見えないし、状態が掴めない。対処ができず、本人が異常な行動をしていても野放しになる。
彼女は怪我をしていても、その闇にとりつかれて成果を求め走り続けた。誰にも言わず、当然のように、そして自分の心に宿る不安から逃げるように。
ここまで来ると、輝かしい成功体験も立派な呪いだろう。