飲食チェーンが沖縄で独自メニュー出す深い事情 絞るのではなく足し算でターゲットを拡大する

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このように沖縄の消費シーンの特徴は大きく異なります。進出に成功している企業は、想定ターゲットを本土より拡大して、沖縄仕様にカスタマイズすることで課題をクリアしているのではないでしょうか。

人口147万人規模のサイズで、細分化してターゲットを絞りすぎると、変に色がついてしまい本来狙えたはずのターゲット層を失ってしまう危険があります。このため、沖縄では、本土市場で想定している顧客より、かなり幅広く構える必要があります。絞るのではなく逆に足し算でターゲットを拡大していくわけです。

そして、ターゲットを絞りすぎてはいけないもうひとつの理由が、チャンプルー文化の存在。その代表格が食堂です。

メニュー数100超えも珍しくない

多様な文化が融合し成熟してきたのが沖縄社会です。その象徴的な存在が沖縄の食堂と言えます。豆腐チャンプルーにカレーライス、とんかつ定食に、麻婆豆腐、ミートソーススパゲティ。沖縄料理はもちろん、和食・洋食・中華、何でもござれで100種類超えるメニューを誇る店も珍しくありません。

(画像:『沖縄ルール 知っておくとビジネスも人間関係もうまくいく!』より)

そのカオス的な雰囲気が温かみや楽しみを演出し、純粋な本土仕様の飲食店とは人気面で一線を画しているわけです。特定の市場を狙って、あえて沖縄市場に媚びないのも1つの戦略です。

沖縄ルール 知っておくとビジネスも人間関係もうまくいく!
『沖縄ルール 知っておくとビジネスも人間関係もうまくいく!』(あさ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

おススメは、牛丼チェーン店で普通にタコライスがメニュー化されているように地元に合わせる戦略です。沖縄進出にあたっては、沖縄食堂のメニューをイメージして、さまざまなニーズに応えるべく顧客ターゲットを足し算で考え、楽しさを生み出す柔軟な思考を持つといいでしょう。沖縄ではメニュー数の多さが、消費者の心を動かす大事な原動力となります。

なお、沖縄の食堂で見られる「味噌汁」というメニューは、もはやおかずです。本土では小さな椀でご飯の横に添えられるのが一般的ですが、沖縄では、どんぶりに盛り付けられ、ポークや卵、豆腐やレタスなど、ボリューミーで具だくさんな料理を「味噌汁」といいます。これも沖縄流食文化の1つです。

伊波 貢 沖縄進出コンサルタント

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いは みつぐ / Mitsugu Iha

ブルームーンパートナーズ株式会社代表取締役/CEO。1967年沖縄県生まれ。琉球大学経済学科卒業。沖縄県内初の証券アナリスト。株式会社コスモ証券経済研究所を経て、1996年4月に株式会社沖縄海邦銀行へ転職。
その後、株式会社海邦総研の設立に携わり、設立とともに取締役経営企画部長に就任。約11年間にわたり経営に関与する。2015年1月に独立し、現職。沖縄地域経済・産業に関する研究をフィールドワークとしつつ、国や県および、自治体からの各種調査(観光・地域資源・経済波及効果調査など)業務を受託。公的機関支援事業の各種委員、審査員を兼任。地域経済・産業活動のコメンテーターとして新聞、テレビ、ラジオなどにも出演。著書に県内でヒットした『おきなわデータ算歩』(沖縄タイムス社)。琉球王国を建国した尚巴志王の末裔。

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