いつの間にか消えた「NTT法廃止論」、空転の裏側 政治に振り回された議論が浮き彫りにした難題

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今回の議論が不幸だったのは、政治主導で見直しが進められた結果、通信業界の分断が生まれたことだ。一連の議論では、NTT法の存廃をめぐるプロレス的な様相を呈し、各事業者の「本筋から離れたポジショントーク」(政府関係者)も目立った。

長年タブーとされてきたNTT法の抜本的な見直しは、政治発の強引なやり方でなければ、議論が進まなかったのは確かだ。業界の分断を招いても戦ったNTTの姿勢は、「普通の会社」になろうとする覚悟を示したといえる。ただ、ハレーションの大きさは、それだけ長年NTTに課されてきた規制の重みも示している。

残されたテーマの検討の行方は

1年半にわたる議論の末、終着点が見えたNTT法見直し。答申案には、ユニバーサルサービスのあり方や特別な資産の扱いをめぐり、さらなる検討を求める内容も盛り込まれたが、政治情勢の変化で制度改革を後押しする機運が低下したことで、今後はしばらく見直しが進まない可能性もある。

NTT法をめぐる議論の紆余曲折は、政治に大きく左右される日本の通信業界が置かれた実態を改めて浮き彫りにした。時代に即した規制のあり方は、これからどのような形で議論していくことが建設的なのか。いくつかの重要な論点が残されたまま、業界は日常を取り戻しつつある。

茶山 瞭 東洋経済 記者

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ちゃやま りょう / Ryo Chayama

1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞の記者として岐阜支局や東京経済部に在籍。司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。2024年1月に東洋経済に入社し、通信業界とITベンダー業界を中心に取材。メディア、都市といったテーマにも関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んだ。

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