スマートウォッチが「先祖返り」し始めた事情 世界最大の家電見本市で見えた最新トレンド
スポーツ用品メーカーの独アディダスが8月に買収したオーストリアのランニングアプリ企業、Runtasticもスマートウォッチ「Runtastic Moment」を展示していた。
こちらもムーブメントは普通のアナログ時計だが、防水機能を持ち、内蔵している活動量計で歩数やカロリー量、睡眠サイクルなどを計測することができる。
このように、円形という点では共通している各社の最新スマートウォッチ。だが、その“想定用途”という点では、各社の戦略は分かれる。モトローラをはじめとしたAndroidスマートウォッチには最新のAndroid Wearが搭載されており、アップルのiPhoneにも対応できるようになった。これにより、“スマートフォンのお供”としての性格が一段と強くなった。
一方、サムスンはGear S2をIoT(モノのインターネット)戦略の中核にしていきたい考えだ。製品発表会ではGear S2を通して自動車のロックを解除し、家電の操作を行うムービーが流れ、展示場では実際に自動車の操作をするデモンストレーションが行われていた。スマートウォッチやスマホだけでなく、白モノ家電やテレビも展開しているサムスンだからこその戦略だろう。
気になるアナログ時計メーカーの動き
これに対して、wena wristやRuntastic Momentはスマートウォッチというより、「普通のアナログ時計に電子機能を付けた」というほうが実態に近い。外見は時計のまま、スマートウォッチとしての機能は欲しいという、より保守的な層を取り込むことを狙っているとみられる。
「スマートウォッチの円形化」というトレンドの中で気になるのが、アナログ時計メーカーの動きだ。IFAでの展示はなかったが、すでにタグ・ホイヤー(スイス)や米フォッシルグループといった時計メーカーは米インテル、グーグルと共同でAndroid搭載の円形スマートウォッチの開発を発表している。カシオ計算機も来年3月をメドにスマートウォッチを発売すると宣言している。
既存の時計メーカーにとって、スマートウォッチの円形化はチャンスかもしれない。四角のものと比べて操作感が落ちるにもかかわらず、各社がスマートウォッチを円形化させた背景には、ユーザーが機能よりもデザインを重視している現実があると考えられる。こうしたデザインやブランドという面では、既存の時計メーカーに一日の長がある。“情報端末の一等地”左手首をめぐる戦いは複雑さを増している。
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