トップダウンの会社で頻発「PDCAのPが長過ぎ問題」 「リスクを最小限に抑えたい心理」が失敗を呼ぶ

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「Pが長過ぎ問題」は以上のように非常に多くの、そして根深い影響を及ぼします。

さらに、トップダウン戦略のもう一つの大きな課題は、その硬直性です。大規模であり、多くのリソースが投入されるため、一度計画が始動すると軌道修正が難しくなります。市場の反応を見て、リアルタイムで戦略を変更することが求められる今のビジネス環境において、こうしたアプローチは大きなリスクを伴います。

消費者のニーズや市場の動向が変わる中で、初期の仮説に基づく戦略をそのまま推し進めることは、むしろ逆効果となることも少なくありません。

「Pが長過ぎ問題」の解決策

そこで、これらのトップダウン戦略による弊害を改善するために提唱したいのが「ボトムアップ戦略」です。

『顧客を見れば、戦略はいらない 解像度を上げるボトムアップマーケティング』書影
『顧客を見れば、戦略はいらない 解像度を上げるボトムアップマーケティング』(日経BP)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ボトムアップ戦略では、顧客中心のアプローチによる迅速な意思決定を可能にするために、まず顧客のニーズやフィードバックに基づいて戦略を立案します。

仮説に仮説を重ねるような過度な慎重さは避けられます。顧客からの直接のデータや声に基づいて迅速に意思決定するため、計画段階が短縮され、実行に移るまでのスピードが格段に向上します。

最小の検証結果やテストマーケティングを積み重ね、リアルタイムでのフィードバックを受けながら改善を行います。

この柔軟性を重視したアプローチにより、実行と改善のサイクルを素早く回すことが可能になります。市場の変化にも柔軟に対応でき、結果としてリソースの浪費を防ぐことができます。

そして、顧客の反応や市場の動向を見ながら戦略を柔軟に調整するため、最初から完璧な計画を求めるのではなく、実際の結果というファクトを重視した計画立案が行われます。「Pが長過ぎ問題」を回避しつつ、実行可能で効果的な戦略を構築することができるのです。

川端 康介 マテリアルデジタル取締役

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かわばた こうすけ / Kosuke Kawabata

2004年、EC事業スタートアップに参画。デザイン/広告/プロダクト開発などの知見と技術をベースに、2010年に株式会社nano colorを設立。10年以上EC業界で顧客コミュニケーションや事業戦略を支援。WHO×WHATを軸にブランディングとマーケティングを分断しないプランニングとクリエイティブを設計することを得意とする。宣伝会議の非常勤講師も務める。また、かつては学校法人HAL非常勤講師、株式会社千趣会のマーケティング子会社Senshukai Make Co-でクリエイティブチームマネージャーも務めた。23年10月に株式会社マテリアルデジタルに参画し、同社取締役に就任。

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