トップダウンの会社で頻発「PDCAのPが長過ぎ問題」 「リスクを最小限に抑えたい心理」が失敗を呼ぶ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
計画段階の過度な長期化

仮説の上塗りが続くと計画段階が過度に長期化します。関係者がそれぞれの懸念を解消するために追加のデータやリサーチを要求し、次々と新しい仮説やシナリオを検討するため、計画の最終化に時間がかかります。

このようにして計画段階が延びることは、マーケティングのスピード感を損ねるだけでなく、リソースの無駄遣いにもつながります。

リスク回避のための非効率な決定

ステークホルダー間の合意を得るために、多くの妥協や非効率な決定が行われることがあります。

本来であれば迅速かつシンプルな戦略が望ましいのですが、過度な慎重さ故に、複雑で重たい戦略がつくり上げられることになります。

この結果、計画段階で想定していたリスクが避けられないばかりか、新たなリスクが生じることもあります。

「Pが長過ぎ問題」の影響とその結果

続いて、そのリスクや悪影響について解説しましょう。

スピード感の喪失による対応力や競争力の低下

計画段階で過度に長期化すると、実行段階に移行した時点で市場環境や消費者のニーズが既に変わっている可能性があります。

トップダウン戦略は、もともと大規模であるため柔軟に対応することが難しいのですが、計画段階が長引くことでさらにその対応力が低下します。市場の変化に迅速に対応できず、結果として競争力を失うリスクが高まります。

リソースの浪費

長期化した計画段階では多くのリソースが費やされます。これには時間、労力、そしてコストが含まれます。本来であれば、これらのリソースは実行段階や評価・改善段階に活用されるべきものですが、過度に慎重な計画作成でリソースが無駄遣いされることになります。

さらに、複雑化した計画を実行に移す際にも、無駄なプロセスや冗長な管理体制が必要となり、コストが膨れ上がる可能性があります。

成功しない戦略の生成

最も深刻な問題は、これだけのリソースを投入し、時間をかけたにもかかわらず、最終的に成功しない戦略が出来上がってしまうことです。計画段階での仮説が複雑化し過ぎた結果、実行段階での効果が薄れ、成果が出ないことがあります。

さらに、過度に複雑な戦略は現場での実行や運用が難しく、計画通りに進まないことも多々あります。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事