トップダウンの会社で頻発「PDCAのPが長過ぎ問題」 「リスクを最小限に抑えたい心理」が失敗を呼ぶ
仮説の上塗りが続くと計画段階が過度に長期化します。関係者がそれぞれの懸念を解消するために追加のデータやリサーチを要求し、次々と新しい仮説やシナリオを検討するため、計画の最終化に時間がかかります。
このようにして計画段階が延びることは、マーケティングのスピード感を損ねるだけでなく、リソースの無駄遣いにもつながります。
ステークホルダー間の合意を得るために、多くの妥協や非効率な決定が行われることがあります。
本来であれば迅速かつシンプルな戦略が望ましいのですが、過度な慎重さ故に、複雑で重たい戦略がつくり上げられることになります。
この結果、計画段階で想定していたリスクが避けられないばかりか、新たなリスクが生じることもあります。
「Pが長過ぎ問題」の影響とその結果
続いて、そのリスクや悪影響について解説しましょう。
計画段階で過度に長期化すると、実行段階に移行した時点で市場環境や消費者のニーズが既に変わっている可能性があります。
トップダウン戦略は、もともと大規模であるため柔軟に対応することが難しいのですが、計画段階が長引くことでさらにその対応力が低下します。市場の変化に迅速に対応できず、結果として競争力を失うリスクが高まります。
長期化した計画段階では多くのリソースが費やされます。これには時間、労力、そしてコストが含まれます。本来であれば、これらのリソースは実行段階や評価・改善段階に活用されるべきものですが、過度に慎重な計画作成でリソースが無駄遣いされることになります。
さらに、複雑化した計画を実行に移す際にも、無駄なプロセスや冗長な管理体制が必要となり、コストが膨れ上がる可能性があります。
最も深刻な問題は、これだけのリソースを投入し、時間をかけたにもかかわらず、最終的に成功しない戦略が出来上がってしまうことです。計画段階での仮説が複雑化し過ぎた結果、実行段階での効果が薄れ、成果が出ないことがあります。
さらに、過度に複雑な戦略は現場での実行や運用が難しく、計画通りに進まないことも多々あります。
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