トップダウンの会社で頻発「PDCAのPが長過ぎ問題」 「リスクを最小限に抑えたい心理」が失敗を呼ぶ

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PDCAをおさらいすると、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字をとったもので、企業が継続的に改善を行うためのプロセスとして広く知られています。特に、品質管理やプロジェクト管理でPDCAサイクルは重要なフレームワークとして機能します。

PDCAサイクルの本来の目的は、計画を立て、実行し、その結果を評価し、次のアクションに反映させることで、持続的な改善を行うことにあります。

しかし、トップダウン型の組織構造によって生まれたマーケティング戦略では、このサイクルがゆがめられることが少なくありません。特に「Plan(計画)」の段階が過度に長引くことで、戦略全体が非効率化し、結果として失敗に終わるケースが多くの現場で見受けられます。

「Pが長過ぎ問題」の発生メカニズム

この「Pが長過ぎ問題」が発生するメカニズムを時系列に沿って解説したいと思います。

ステークホルダーの慎重な姿勢

トップダウン戦略では、多くのステークホルダーが戦略の策定に関与します。これにはマーケティング部門だけでなく、経営層、営業部門、製品開発チーム、法務部門など、様々な関係者が含まれます。

大規模なキャンペーンやプロジェクトでは多額の予算が投入されるため、失敗のリスクを最小限に抑えたいという心理が働きます。そのせいで関係者は計画段階で慎重になり過ぎる傾向があります。誰もが自分が承認した戦略で失敗したくはありません。

しかし、100%確実なロジックやエビデンス、フレームワークというものはこの世に存在しません。もし存在するなら、もはや意思決定者は不要です。しかし、過去から現在に至るまで意思決定者が存在し続けていることは、100%確実なものなどないことを証明しています。

仮説に仮説を上塗りする

失敗回避が目的化してしまう風潮が強まると、初期の仮説に対して、さらに仮説を上塗りする形で計画が進められます。

例えば、ターゲット市場の選定に関しても、最初の仮説に対して「もしこの市場が反応しなかったら」という懸念が生じ、その対策として別の仮説が追加されます。これが繰り返されると計画の複雑さが増し、もともとの目的から逸脱してしまいます。

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