これは、日本に限らずアメリカのスタバでも同様なのだが、そもそも「本格的なコーヒーショップ」を目指して作られたスタバにおいて「フラペチーノ」が提供されたのは、若い女性の客層をターゲッティングするためのことだった。
実はフラペチーノ導入以前からスタバでは低脂肪乳の導入などが行われており、女性向け商品の開発を進めていた。
日本でもこうしたフラペチーノの導入によって、スタバには若い女性が押し寄せるようになったが、それによって、それまでの喫茶店が主たる客層にしていた層からの変化が起こってくる。
また、もう1つの観点として、「価格帯」の設定もスタバにおける「選択」を作り出している。この点に関して、社会学者のブライアン・サイモンがアメリカのスタバを語った『お望みなのは、コーヒーですか?』でこう書いている。
「まともな稼ぎがある人々」というのが面白い。今風にいえば「客層がいい」「治安がいい」ということになるかもしれないが、実際スタバは安易な値下げ戦略を行わないことでもお馴染みだ(この点、本国アメリカのスタバがセットメニューを開始して値下げ戦略に手を出すものの、結局芳しくない結果になったところを見ると、この「値下げない」戦略の有効性が逆に証明されたともいえるかもしれない)。
ちなみに、メニューによる「若い層への訴求」と、価格の維持は別の方向を向いているように思えるかもしれないが、若い層が「それでもスタバでフラペチーノを買いたい(そしてSNSにアップしたい)」と思わせるという意味で、逆にスタバのブランディングを向上させているともいえるのだ。
「完全禁煙」が作り出す「顧客の選択」
こうした、価格やメニューといった「環境」的な部分で「静かなる客層の選択」を行っているのがスタバで、その戦略が(特に日本では)うまく進んでいることが、いまだに多くの人が「スタバとMac」の結び付きをイメージとして持っていることに表れている。
「スタバってこうだよね」という確固たるイメージがあり続けているのだ。
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