生焼けハンバーグ騒動を生んだ外食業界の"病巣" 安易なパクリが健康被害&風評被害を生む
冒頭の事故をきっかけに、現在も生の牛レバーや無許可の生肉の提供は禁止されているが、禁止されるとかえって食べたくなるのが人間の心理である。
もちろん安全基準を満たしていない生肉を提供することは許されないが、禁止があるからこそ、基準をぎりぎり守った生に近い肉を食べることを「背徳感のある行為」として、楽しむ人が増えたのは間違いないだろう。
飲食店側も、この「背徳感」を刺激している場合がある。
とある居酒屋に「合法レバー」というつまみメニューがあった。安全基準を満たすギリギリの低温でじっくり火入れし、とろっとした食感に仕上げたレバ刺しだが、提供時、店員が不敵な笑みを浮かべながらパケ袋に入った「白い粉」をおもむろに取り出し、こう告げられる。
「これをかけて食べてください。でも、かけすぎるとキマってしまいますよ……」
なお、「白い粉」はただの食塩である。背徳感をユーモアたっぷりに昇華した、居酒屋らしい体験型のメニューということだが、これも「違法レバー」や「違法生肉」があるからこその発想と言っていい。
飲食業界の仁義なきパクり合い
生肉、そして生食が持つ背徳感がここまで人を惹きつけるとなると、多くの飲食店がそれを取り入れようとするのは自然なことだ。飲食店では日々、仁義なきパクリ合いが行われている。
飲食業界では「TTP」という言葉がある。「TTP」=「徹底的にパクる」という意味で、このTTPをモットーに業態開発を行う企業も少なくない。
レシピに著作権は発生しないし、盛り付けをまねることも法律で禁止されていない(飲食店のいちメニューで意匠権を申請することも滅多にない)。だからこそ飲食業界では安易なパクリが横行するのである。
もちろん、あらゆる創造は他人のまねから始まる。模倣からスタートしつつも、そこに自分なりのオリジナリティを加え、模倣元を上回ることで文化が成熟していくものだ。
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