5000系は普通車用として登場しながらも、側面の窓に対して直角に座るクロスシートを採用した点が大きな特徴だ。ドアの間はクロスシート、車端部は側面の窓を背にしたロングシートのセミクロスシート車。座席の当初の配置は当時の0系・200系新幹線の3列席と同様の「集団離反式」で、真ん中のドア付近を境に反対側を向いた固定式のクロスシートを並べた。
主電動機(モーター)には3000系と共通の直流直巻電動機。一方、制御装置に界磁添加励磁制御を採用した。同社技術部の田中一吉さんは「旧来の吊掛式駆動車は加速が遅くダイヤ上のネックになっていた。5000系で取り入れた界磁添加励磁制御は直流モーターでも回生ブレーキが併用できる。省エネでメンテナンスの手間も減らせた」と話す。
「ハイグレード」な新型車として登場
5000系登場時のパンフレットで鈴木正社長(当時)は「山陽電鉄では、神戸高速鉄道開通に伴う新型式3000系車両を標準型式として昨年まで増備してまいりまして、現在では、これを輸送の主力としておりますが、さらに安全快適な輸送を確保し、ご乗客のサービス向上をはかるため、既存の吊掛式車両をすべて廃車し、その代替として新型式の5000系車両を新製いたしました」と導入の経緯を説明している。
そのうえで「この5000系は、3050系アルミ車両の実績をもとにして、さらに改良を加えた全アルミ車両でありますが、添加励磁式電力回生ブレーキなど最新の車両技術を大幅にとりいれ、性能・経済性ともにすぐれた車両とすると同時にデザインを一新し、クロスシートの採用などハイグレードなものといたしました」と続けており、当時の意気込みがうかがえる。
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