アクセルペダルに乗せた右足は、ほとんど力をこめなくても、まさに滑るように車体が前へと進んでいく。カーブを曲がるときは、細めの径を持つステアリングホイールを動かすと、ほとんど抵抗感なく車体がすいっと向きを変える。車体のロールも抑えられている。
電子制御サスペンションシステムのなせる技で、どんな状況でも、すいっと滑るように進んでいく。操作にあたって力をこめなくてはいけない場面もなく、こちらはロールス・ロイス用語で「エフォートレス・ドライビング」という。
ゴーストで変わったロールス・ロイスの走り
かつてのモデルは、たしかにエフォートレスではあったものの、ステアリングホイールの操作に対して車体が動くときの反応が、ドライバーに直接伝わってこなかった。そのためカーブなどでは“だいたいこのへんかな”と思いながら操舵する。いわゆる“当て勘”で操縦するのだ。
とうぜんながら、私はその感覚がどうも苦手で、自分で操縦していると、すぐに飽きてしまっていた。今のゴーストにはじめて乗ったときは、ダイレクトな感覚で、これはいい、とすぐに思ったのを、よく覚えている。
南仏の一般道は、細くて屈曲していて、とくに村落に入ると、対向車とのすれ違いに神経を使う。ゴースト・シリーズⅡは全幅が2m近くあるのでスリルもひとしおだ。
ステアリングホイールを動かしたときの車体の反応が素直なので、道を端ぎりぎりまでさっと避けられる。カーブを高速で曲がるときから、ワイン畑のあいだのくねくね道でのすれ違いまで、不安の念に駆られることなく、さっと走り抜けられるのだ。
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