サンフレッチェ新スタジアムで広島中心地が激変 ファミリー層や若者を取り込んで街全体が活況に

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「とはいえ、サンフレッチェの31年間は赤字の歴史。2023年もスタジアム独自の設備投資に加え、2023・2024年に是が非でもタイトルということで大型補強を進めたため、8億円の赤字を計上しています。2024年の大幅増収でようやく一息つける状況にはなりましたが、今季も選手補強に資金を投じているため収支はトントン。そこまで余裕があるわけではありません。

現時点で毎試合満員という状況なので、2025年以降も大幅増収が続くというのは難しい。スポンサー収入のさらなるアップに尽力していくしかないですが、ポテンシャルがあるのは女子チームのレジーナのほうだと思います。

レジーナの観客数を増やしていけば、もっとクラブの売り上げは伸びていく。日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長も2031年の女子W杯招致を明言していますが、機運が高まる要素はある。そうやって成長を続けていくことが重要です」と仙田社長は力強く先を見据えていた。

サッカースタジアムとして日本屈指の最新鋭設備を備えている(筆者撮影)

スタジアムを核に地域成長につなげる

仙田氏は社長職を2024年12月末に退き、翌年1月1日から久保雅義副社長に後を託すことになるが、自身はクラブに残って今後も経営面を支え続けていく覚悟だ。

「コロナ禍真っただ中の2020年にJリーグが新規スポンサー数、増額に応じてくれたスポンサー数の調査を実施したんです。2019年時点でのJリーグ総収入が1300億円で、増えたのはわずか2億円。うちに約1億円、半数近くがサンフレッチェだった。それこそが広島のサッカー愛。『困ったときには助けてやろう』という心意気だったと感じています。

広島経済界にはサッカー経験者が多いですし、日本屈指のサッカーどころという自覚も強い。JFAの元会長だった長沼健さんも被爆を乗り越えて日本代表のエースストライカーとなり、監督として1968年メキシコ五輪銅メダルへと導きました。数々の先人を輩出した町の中心部にようやく生まれたスタジアムを恒常的に発展させ、地域の成長につなげていくことが我々の責務だと考えています」

仙田社長の思いを具現化するためにも、J1制覇は必須テーマ。3年連続であと一歩のところで逃した頂点奪回に向け、2025年の広島が経営を含めてどんな歩みを見せるだろうか。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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