サンフレッチェ新スタジアムで広島中心地が激変 ファミリー層や若者を取り込んで街全体が活況に

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一方で、建設費用の捻出も大きなハードルだった。当初予定された建設費用は270億円。その負担内訳は、国庫補助金80億円、広島県・市が各50億円、寄付金が63億円、使用料収入等(市債)が27億円。寄付金63億円はエディオンが30億円、マツダが20億円、地元経済界が10億円、個人の寄付が3億円という見積りだった。

地元財界は「広島カープのマツダスタジアム建設時の寄付が12億~13億円だったのだから、サッカーにそれ以上を投じるのは難しい」と及び腰だったという。にもかかわらず、結果的に地元経済界の寄付は20億5800万円になった。個人の寄付も6億4000万円まで伸びた。これで広島県・市の負担分は各40億円程度に減少。

建設費高騰などで建設費総額は285億円に上積みされたが、国庫補助金が101億円超に増額されたこともあって賄うことができ、今年2月の完成にこぎつけたのだ。

ただこれでひと安心というわけにはいかなかった。「当初は不安要素も皆無ではなかった」と仙田社長は言う。

「まず気がかりだったのは、近隣の騒音です。2月10日にガンバとのこけら落としの試合があって、試合中に外に出て基町アパート群を歩いてみましたが、まったく音が聞こえなかった。試合後の人はけも実にスムーズで『これなら大丈夫だ。近隣に迷惑をかけずに済む』と大きな手ごたえを感じました」

サッカーファン以外も足を運ぶように

その後、2月23日のJ1開幕・浦和レッズ戦から本格的な供用がスタート。Jリーグの鬼門といわれた平日開催のナイトマッチでも満員状態が続いた。さらにWE(日本女子プロサッカー)リーグでもサンフレッチェ広島レジーナの2023-24シーズン最終戦・セレッソ大阪ヤンマーレディース戦で6305人と女子の試合では破格の数字を叩き出した。

地元飲食店関係者も「ビッグアーチの頃はサンフレッチェのサポーターだけが試合に行っていたけど、街中に移動した今はファミリー層や若者も気軽に足を運ぶようになった。街のにぎわいも去年までとは全然違います」と前向きに話していたほど。それは仙田社長も認める点である。

エディオンピースウイング広島
ナイトゲームを華やかに演出(筆者撮影)
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