大ヒットを生み出す「極端すぎる消費者」たち 「そこまでやるか」がマーケットを作る
エクストリームユーザーを見つける際には、ビッグデータや膨大なパネル調査などの定量データでまず大きく絞り込み、さらに会議室に消費者を集めて質問するグループインタビューなどの調査を活用しながら、徐々に対象者を選定していきます。
エクストリームユーザーの巨大な存在感
エクストリームユーザーとヘビーユーザーは似ているようで違います。例を挙げましょう。
スマートフォンのゲームでは、極端に言えばわずか1%の課金ユーザーが99%の無料ユーザーを支え、ビジネスを成立させているといわれます。1万人の無料ユーザーにかかるコストを、たった100人の課金ユーザーたちが支えているということです。
そのため、スマホゲーム会社ではビッグデータを活用して、ユーザーの行動歴をこと細かに、しかもリアルタイムで観察しています。仮に収入源となる課金ユーザーが減る気配を察知すると、その課金ユーザーの満足度を高めることにつながるレアアイテムを得る確率を増やすように、アルゴリズムを変更したりします。レアアイテムが効率的に得られるようになれば、既存の課金ユーザーの購買意欲は高まりますし、さらに無料ユーザーから課金ユーザーになってくれる人が出てくるかもしれないからです。
課金ユーザーはヘビーユーザーですが、その全員がエクストリームユーザーではありません。エクストリームユーザーは自分なりにゲーム攻略を工夫し、オリジナリティのある攻略方法を編み出します。そしてネット上に公開し、SNSなどを介して「今回はこんなレアアイテムが手に入ってラッキーだった」などとつぶやき、情報を拡散させます。
こうしたエクストリームユーザーの行動は、そのゲームを牽引しているという自身の自尊心を満たすだけでなく、無料ユーザーの課金化にも貢献します。そのため、スマホゲームの会社は、ヘビーユーザーを増やすだけでなく、顔の見えるエクストリームユーザーの育成にも積極的にかかわっていくのです。
ほかの市場ではエクストリームユーザーを巻き込んだ協業型のマーケティングはまだまだ少ないですが、スマホゲーム市場ではユーザーの行動歴を高度に分析することができるため、エクストリームユーザーの発見が容易です。そのためエクストリームユーザーを介して、ほかのユーザーに影響を与えるような取り組みが行われるのです。
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