面接官の仕草:(信じられないといった様子で首を左右に振る)
面接官:保護者や子どもからあなたとは二度と話したくないと言われたらどうしますか?
トモアキさん:無理して前面には立たず、先生方の後方支援に回ります。
面接官:それでもあなたの話を聞きたくないと言ってきたら?
トモアキさんの心の声:(後方支援に回るって言っているのに、「話を聞きたくない」って、質問が矛盾してないか?)
面接官は2人。トモアキさんによると、1人は終始仏頂面、もう1人は何を答えても、理解できないといわんばかりに首をかしげるジェスチャーを繰り返したという。このほかにも、事例の背景を説明していたトモアキさんを遮り「話が長いんで、もっと端的に答えて」と言ったり、要約して話そうとすると「よくわからないのでもう少し説明して」と言ったり。わずか5分ほどだったという面接を、トモアキさんが振り返る。
「SCが先生と相談のうえ授業中の子どもに声をかけることは珍しいことではありません。面接官がSCの仕事を理解していない、教育の現場を知らないということがわかりました。最初から落とすことが前提という印象を受けました」
非正規公務員の雇い止め問題
東京都のSCはもともと非常勤特別職だったが、地方公務員法の改正に伴い、2020年度から任期1年以内の会計年度任用職員へと移行した。東京都教育委員会は会計年度任用職員の更新回数の上限を4回と規定。2023年度、多くのSCがこれに達したことから、面接などの公募試験を受けなければならなくなった。その結果、1096人中250人が「不合格」や補欠にあたる「補充任用」となった。SCらでつくる労働組合「心理職ユニオン」によると「これだけ大規模な非正規公務員の雇い止めは全国でも初めてではないか」という。
職場は都内の公立小中学校や高校で、1人が1~3校を担当し、勤務日数は1校につき年間38日。対応する問題はいじめや不登校だけでなく、発達障害やヤングケアラー、宗教2世など多岐にわたる。
このSC大量雇い止め問題について、私は今年3月、全3回でレポートした。このとき取材に応じてくれたのは全員女性だったが、トモアキさんと同じく勤続10年以上、学校側からの評価も高いベテランSCが多かった。そして彼女たちもまたこの面接への怒りをあらわにしていた。
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