都の学校カウンセラー「250人雇い止め」の衝撃 学校や保護者から評価高く、経験豊富なSCが…
東京都の非正規公務員であるスクールカウンセラー(SC)250人が3月末で“雇い止め”にされる。働き続けることを希望して試験を受けたSCのうち5人に1人が不合格。中には勤続10年、20年で、学校からの評価も高い「ベテラン」も少なくない。SCらが加入する労働組合は「これだけの規模の非正規公務員の雇い止めは全国初ではないか」と懸念する。不登校やいじめ、発達障害、自殺未遂、ヤングケアラー、宗教2世などさまざまな問題に対応するSCの突然の“大量解雇”は学校現場にも大きな混乱を招きかねない。その背景と影響を全3回でリポートする。
真っ先に口にしたのは子どもや保護者のこと
「あの子に何て言おうか、あのお母さんにどう説明しようか、年度末で忙しい先生にうまく引き継ぎができるだろうか。正直、頭の中はそのことでいっぱいです」
3月5日、東京・霞が関の厚生労働省で、都のSCたちによる雇い止め撤回などを求める記者会見が開かれた。会見終了後、大勢の記者が追加取材のため、SCが加入する労働組合の担当者を取り囲む。当事者の1人山口ゆきのさん(仮名、50代)は人いきれから逃れるように壁際に立つと、そっとジャケットを脱いだ。緊張がほどけ、少し疲れた表情。そして真っ先に口にしたのは、3月末で別れなければならない子どもや保護者、教師たちのことだった。
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